内容説明
明治から昭和へ、激動の日本に生まれては消えたうわさ、デマ、迷信。人々の欲望、不安、怖れを乗せて拡まり、凄惨な事件すら引き起こす「うわさ」の驚くべき正体を探る。うわさの博物館。
目次
兎、虎列剌、絹布そして唄
毒婦たちの栄光
鹿鳴館と任侠
世論と壮士
妖怪学と失念術
超能力の発見―千里眼事件
芸術か、スキャンダルか
コラムの誕生と消滅―「茶話」の時代
天譴、自警団、この際、やっつけろ
英雄生存伝説と日本起源論異説
“清潔な帝国”下の『日乗』―荷風と昭和初期
デマと統制―木炭もない石炭もない
“清潔な帝国”と敗戦
“地”のうわさ、海の記憶
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenkou51
0
明治から昭和にかけて生まれては消えたうわさ、デマ、迷信が人々にどのようにして拡まっていったのか。「うわさ」の正体とは何なのか知りたくて読んでみました。このハードカバー版の出版は1993年。まだ、携帯もインターネットも普及していない時代で、取り上げられている事件もかなり古い時代のものですが、驚くほど現代のネット時代のうわさ、デマの発生と根幹が似ていることがわかる。『超能力の発見 千里眼事件』や『天譴、自警団、この際、やっつけろ』の章は特に興味深い。2017/09/20
takao
0
ふむ2025/02/16
Koki Miyachi
0
何とも興味をひくタイトルである。近代の日本のうわさにスポットを当てて、史実の裏にある民衆が体験した世相を描き出そうとする試みと言えるだろう。史実を裏から眺めるような趣があって大変面白い。巻末に掲載された膨大な参考文献の数に、筆者の苦労がしのばれる。2021/06/12