内容説明
ギリシア神話とともに、ヨーロッパ文化の源泉となっている北欧神話を、最新の研究成果を背景に、伝承された各種の資料から、統一的な物語の環として構築する、画期的な試み。体系的で、平易な、北欧神話への誘い。
目次
はしがき 北欧神話序章(北欧人の世界;宇宙論;万神殿〈パンテオン〉;出典;北欧神話の文学的構造;アプローチ)
神話(天地創造;アース神族とヴァン神族の戦い;アースガルドの城壁づくり;絞首台の主;リーグの歌;詩の蜜酒 ほか)
北欧神話ノート(天地創造;アース神族とヴァン神族の戦い;アースガルドの城壁づくり;絞首台の主;リーグの歌 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カムイ
42
北欧の神話はそれ程は知らずに読んだ。それでも楽しく読めてまた後のファンタジーに影響あたえているのも認識された。物語の主要人物のオーディン、ロキは神で神でありながらあまりの人間臭さに苦笑してしまうくらいであった。北欧神話では9つの世界があり、世界の中心は(ミットガルト)人間の世界があり周りには巨人や小人や死者の世界などもあります。なんともユニークな世界であるのだからファンタジーの題材になるのもわかる。そしてこの神話の起源がありアジアのインドからではないかと言及しているのだ、カムイは北欧といえばヴァイキング→2023/02/05
絹恵
27
ここにいる誰もが運命に心臓を掴まれ、運命の環から外れることは許されません。初めから死を定められ、不死ではない北欧の神々は、人間に似た存在です。見せかけの愛され方をするのなら、いっそのこと思いっきり嫌われたほうが楽になるのかもしれません。そしてバルドルの弟盲目のヘズが兄を殺害するまでの見えない思いも考えたいです。共通する思いは酷く人間らしい寂しさだと感じました。2014/05/09
テツ
10
北欧神話に限らず世界各地洋の東西を問わず神代の時代のお話が好きなので暇潰しに。著者の方がイギリスでは有名な詩人の方らしく美しい言い回し、眼前に広がるかのような情景描写の連打で知っている物語でも最後まで楽しく読み終えられました。かの地の神々は人間臭くて良いな。善い部分も悪い部分も凄まじいスケール。やっぱり多神教の神様達が好きだ。特にトール。神々と巨人との戦いも約束されたラグナロクにより終焉を迎える。逃れることの出来ない終焉が待ち構えているってのは北欧神話が伝わった地の厳しい自然が影響しているのかな。2016/07/11
めめ
4
世界が、ユミルという霜の巨人から出来た所に、寒い国の神話らしさを感じた。死んだユミルの頭蓋骨を天空に、肉塊から大地を、骨から山脈を作った。世界樹のユグドラシル、世界蛇のヨルムンガンド、狼フェンリル、北欧神話の宇宙観は面白い。文章も詩的で情景が目に浮かびやすくドラマチック。読みやすい本だった。やっぱり山室静さんの訳はいいなあ。ロキは須佐之男命みたいだなあ。2013/05/16
サアベドラ
4
北欧神話の一般向けリライト。アーサー王伝説におけるブルフィンチみたいなものです。小学生ぐらいの頃に兄が図書館から借りてきた本で、多分初めて読んだ北欧神話の本です。改変が多いため原典主義の人からは評判悪いようですが、私は北欧神話入門としてはこれでも十分だと思います。訳文もこなれていますし。そういえば、私の持っている版(馬場の古本屋で買ったもので89年6刷)では題名が『北欧神話』になってます。いつの間にか改題したようです。2009/10/21