出版社内容情報
本特集では、公共の議論から文化・社会的観点に至るまでいま再びの注目を広く集めつつある就職氷河期/ロスジェネの問題を、そもそもの「世代」とは何かといった問いにまでも遡行しつつ、さまざまな観点から論じる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
46
全体的に、当事者である私は、図書館から借り出せれてよかった。不遇な課程博士審査に不合格だった女性も。幼子を連れて、内容が悪かったというが、同情で博士号が来るほど世間は甘くない。おれも、最後は論博しかないが。お互い、辛酸をなめてますが、がんばりましょう。といっても、昨今は、この先の64歳まで年金保険料入れろ、死ぬまで働け、の時代を見通せたので、死にたくなるね。ま、なるようにしかならんけど、ネオリベは罪深いね。気が重い特集だが、あの赤木智弘氏の論稿もある。彼も47歳とのこと。2022/12/28
かんがく
9
自分は95年生のドップリゆとり世代のため、氷河期世代については伝聞でしか知らないが、無敵の人、冷笑系、ミソジニー、自己責任論、弱者男性、ポピュリズムなどの近年のネット空間における主要テーマを氷河期世代という切り口から捉える論考が多く興味深かった。「就職氷河期」という世代論が女性や障害者といったマイノリティを軽視していること、そして女性や障害者と違ってその特性を脱却できるかもという希望があるために連帯が難しいこと、という指摘が特に興味深かった。2024/10/14
URYY
1
伊藤昌亮「「弱者男性論」の形成と変容「2ちゃんねる」での動きを中心に」が、いまの自分のネット環境を歴史的に考える上で有益だった。「弱者男性」とレイシズム、アンフェ(ジェンダーバックラッシュ)がどういうメカニズムで結びついたか。よくわかった。 2022/12/18
鏡裕之
1
現代思想的な立ち位置からニュートラルに「ロスジェネの現在」に迫るというよりも、記事の多くはルサンチマン(恨み)と政府批判をぶつける感じ。おいおい、左翼お抱え雑誌かよ。もっとルサンチマンを離れて、ニュートラルなものを読みたかった。かなりガッカリの出来。2022/12/03
Y.T.
0
「90年代ロスジェネ受難史をどうとらえるか」という論文が勉強になった。ロスジェネの「ロスト(喪失)の経験」はこの世代特有のものではなく、現代日本における普遍的な問題の一つの極限であると本論文は提起する。つまり、新自由主義が全面化した時代において起こった、「〈生-生活〉の基盤剥奪」という事態の最初の遭遇者がロスジェネ世代というわけである。後の世代にとって「〈生-生活〉の基盤剥奪」は前提条件ではあり、失う前に喪失しているという違いがあるにせよ、この一点を共通項として世代間で連帯することが可能なのかもしれない。2023/01/11