出版社内容情報
『蛇にピアス』でのデビューから20年。新境地へと踏み込んだ『腹を空かせた勇者ども』刊行を機に、小説家・金原ひとみを追う総特集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
竹園和明
38
この雑誌の存在を全く知らなかったが、金原ひとみ特集というのを本屋さんで見かけて購入。著名な作家達が金原さんをイメージしたエッセイや論考を寄せる中、貴戸理恵氏のインタビューがとても良かった。貴戸さんの質問が金原さんの各作品のコアな部分を巧みに拾い上げており、また金原さんの両親や老いに関してなど、他誌では読めない彼女のお考えを知る事が出来て面白かった。そして「小説を構成する言葉一つ一つの精度の高さと驚くべき緊張感、熱量、妥協も容赦も躊躇もない突き進み具合」という江國香織の金原評は、全面的に首肯するしかない。2025/06/17
justdon'taskmewhatitwas
6
先に読んだ本で、吉本隆明が「成長の跡をたどれるような作家というのは、村上龍、村上春樹で終わり」と、町田康の『くっすん大黒』の頃に話していたが、金原ひとみが出ていれば、違っていたんじゃないかと思った。それから、作品に"女"と"社会"を感じること多々なのだが、フェミともアンチマチスモとも微妙にズレていて、常識ぶった男目線の読書では全く芯を食わず、振ったバットが空を切ること甚だしい。2023/12/11
ありんこ
5
蛇にピアスを読んだときは衝撃的でしたが、子育てをしながら作家であり続けていることがすごいなあと思います。江國さん、西さんの金原ひとみ評を読むことができ、良かったです。短編「バウンディングソウル」も何だか分からないけれど魅力があります。2024/11/19
めまい
4
江國香織が金原ひとみのファンだと言っていて、ストーカーみたいな発想だけれども、とても嬉しくなる。作品の方向性は異なる2人だが、小説を書く理由が似てそう。生きていく上で諦めざるをえないものがあって、それが全然腑に落ちるべきではないのに自分自身は諦めているから、この2人は小説を書いているのかなとたまに思う。自分のパラレル。あと、金原ひとみが描く女性主人公は決して〈痛く〉ないと思う。メンヘラとかジェンダーの呪縛とかに囚われてしまえた方が楽なのにという世界観なのでは。2023/11/05
バーベナ
2
まるごと金原さん。長く書き続けてくれているのが嬉しい。金原さんはどんどん変わっていく部分と、変わらない部分があって、それを惜しみなく表現されているのが好き。2023/11/27