内容説明
発達の凸(強み、得意)と凹(困難さ、苦手)の差が大きい「発達凸凹」。自分の凸と凹を知れば、怖くない!発達障害のうち、自閉スペクトラム症の診断を受けた一人の少年が、自身の凸と凹を見つけながら成長していく自伝的小説。巻末資料として主治医による検査結果の解説付き。
著者等紹介
山田隆一[ヤマダリュウイチ]
1993年、長崎県南松浦郡上五島町(現在の新上五島町)生まれ、長崎市育ち。長崎大学経済学部卒業。幼い頃から学校に馴染めず、小学5年生の時に自閉スペクトラム症の診断を受ける。大学在学中に、約1年間のイタリアへの交換留学を経験。現在は、児童発達支援や放課後等デイサービスを実施する長崎市のNPO法人なごみの杜にて非常勤職員として勤務する傍ら、自らと同じく生きづらさを抱える当事者に対する理解を目的とした啓発活動に努めている
今村明[イマムラアキラ]
長崎大学病院地域連携児童思春期精神医学診療部教授。福岡県大牟田市出身。1992年長崎大学医学部卒業後、同大学精神神経科医局所属。2009年より長崎大学大学院精神神経学准教授。2016年より現職。長崎大学病院以外に、長崎家庭裁判所、佐世保児童相談所等に勤務。現在、外来診療のほとんどが、児童思春期から成人期の発達症(発達障害)児・者を対象としている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かおりん
32
自閉スペクトラム症の診断を受けた著者は学生にして講演者に選ばれた。得意なこと凸と苦手なこと凹を自分で分析し、幼少期から振り返っている。コミュニケーション能力や社会性に問題はあるが、大学に入って様々な経験をするなかで自信をつけた。語学力があること、レポートなどを苦にしない、成績もいい。他との違いを知り、生きづらさを感じるなかで、先を見通すことは大変だったと思う。パッと見ただけでは障害だと認知されない苦労もあるだろうし、理解してもらうのも大変だろうな。いい先生や理解者にあえてよかった。2020/03/30
テリトリーM
7
冒頭にあるように幼い頃のことでフラッシュバックに悩まされていたそうだ。それでも大学生になって「きっとうまくいく」とポジティブに考えられるようになり、自分のような学生のために声をあげてくれたのだろう。彼が自分の苦手、得意を「凸凹」と振り分けたように、当事者自身も自己分析することで自分を受け入れることが大切だ。回りの私たちは彼らに「自ら考えて関わっていく」ことを心がけたい。2019/11/29
Asakura Arata
6
発達凸凹の特性のある大学生の手記。大学生になってからいろんな冒険をしていく過程が克明に示されている。同じ特性を持っている人には、力づけられる内容。しかし古い大衆音楽に興味を持つってところで、何人か知人が連想された。それなりのステータスがあり変化の可能性のない対象を選ぶのかもしれない。2019/08/26
コウママ
4
発達障害の著者の手記。自分の得意不得意が分かっている事が一番の強みですね。苦手なコミュニケーションに前向きに取り組んでいるのがすばらしい。昔のいじめなどフラッシュバックがあるそうで、よくがんばって書いたねと心から思う。2020/08/17
CD
2
自閉スペクトラムの青年のリアルな大学生生活がつづられた本・・・。友人らしい友人や大学生らしい人との触れ合いが4年間なかったことがつづられていて胸が締め付けられる。精神的にはきつい人生を送っていることだろう。ただ、人間の成長のためにはいい4年間を過ごしているように見えます。言葉で経験や思ったことを表現できるだけでも素晴らしい。長崎大学の学生のリアルな生態が垣間見れる貴重な資料。2023/04/14