内容説明
安全で効果的であるにもかかわらず最も偏見の強い電気けいれん療法について、世界で最もこの治療にくわしい2人の著者が、その倫理的問題を鋭く明確に解説。この治療を必要としている人たちが、誤った情報や偏見により治療を受けられないという状況が散見される今、治療者は、本書に書かれているガイドラインを即座に実行することが求められているのではないだろうか。精神医学のテキストとしても例をみない貴重な内容が満載。
目次
第1章 ECTに押された烙印
第2章 医の倫理原則
第3章 ECTに対する従来の倫理的アプローチ
第4章 善行
第5章 無害性
第6章 自律性
第7章 正義
第8章 倫理原則のバランス
第9章 結論
著者等紹介
Ottosson,Jan‐Otto[OTTOSSON,JANOTTO][Ottosson,Jan‐Otto]
精神科名誉教授。1951年に医師となり、1960年にストックホルムのKarolinska Instituteで、医学博士を取得。1963~1991年、UmeaとGoteborで精神科教授、大学長を務めた。1983~1997年、『Acta Psychiatrica Scandinavica』の編集長を務め、季刊誌『Convulsive Therapy』の編集委員。1989年、Georgetown大学の生命倫理の集中講義を受け、ECTの倫理観の基礎を築く。スウェーデン医療倫理審議会の委員長やGoteborg大学の倫理研究委員会の委員長、ヨーロッパ医療倫理連合のスウェーデン代表、スウェーデン政府の医療倫理委員会の顧問などを務めた。世界精神医学会ではスウェーデン代表として、精神科にとって初めての倫理既定となったハワイ宣言制定に寄与。スウェーデン議会優先委員会では書記官を務めた。彼の臨床精神医学の教科書は、スウェーデンの医学部で幅広く用いられ、1983年の出版以来、増版を重ねている。スウェーデン精神科学会、スウェーデン医師会の名誉委員であり、1987年にはデンマークのPsychiatric Institute in AarhusでErik Stromgren賞を受賞した
Fink,Max[FINK,MAX][Fink,Max]
1945年、New York大学医学部を卒業し医師となった。1946~1947年、アメリカ軍の従軍医師を務め、1952年には神経内科専門医、1953年に精神分析医、1954年に精神科専門医に認定された。1962年、Washington大学、1966~1972年にはNew York大学医学部で精神科研究教授を任命され、1972年からはStony BrookのSUNYで精神科教授、神経内科名誉教授を務めている。1997年からはAlbert Einstein医学部、LIJ‐Hillside医療センターにも勤務している
中村満[ナカムラミツル]
1964年、東京生まれ。1989年、大阪市立大学医学部を卒業し、同年東京都立広尾病院にて臨床研修を行い、翌年から同院神経科で勤務する。以後、山本病院、東京医科歯科大学附属病院、都立荏原病院などを経て、2002年から現在の都立豊島病院神経科に勤務している。専門領域、リエゾン精神医学、精神科救急、ECT、精神生理学など日本総合病院精神医学会評議員、教育研究委員会・ECT委員会委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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