内容説明
本書は自己愛パーソナリティ障害の精神病理についてマスターソンがはじめて公けにしたものであるが、これまでの彼の境界例の精神病理論を明確にまとめ、さらにそれを発展させる形で自己愛パーソナリティ障害を論じている。マスターソンは治療技法として境界例には〈直面化〉を、自己愛パーソナリティ障害には〈解釈〉を原則として用いる必要があることを説き、症例の面接記録を順を追って詳細に記述する中で治療技法の実際を明らかにしている。
目次
1 自己愛の精神病理(自己愛パーソナリティ障害;鑑別診断;臨床像―生活歴と精神内界構造;自己愛パーソナリティ障害の精神療法―試験期;徹底操作期の開始;境界例の自己愛精神病理と偽自己)
2 境界パーソナリティ障害(発達理論の改訂と最新の理論;臨床像;治療同盟、転移性行動化、転移;転移性行動化と徹底操作;復讐行動を克服することのもつ役割;治療の終結)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コジターレ
5
精神科に勤務していた頃に読んだら、ものすごく理解が深まる名著だと感じたと思う。ただ、今の立場ではここまで深める必要もなく、つまみ読み。精神科臨床に携わる専門家向けの本だと思う。2015/11/08
PukaPuka
1
私の頭のレベルと臨床感覚では、マスターソンの言っていることが、ボーダーラインの病理の理解に一番しっくりくる。 ボーダーには自己愛が混ざっている人もいるので、双方を視野に入れ、豊富な臨床例をもとに考察する。2018/01/28
るうるう
0
素晴らしい本だった。過去数年に読んだ本の中でも私的トップ3に入る。専門書なのでわからないところも多々あったが、それでも伝わってくるものがある。もともと身近にいる「自己愛人間」について対策を練るために購入したが、読み始めてすぐ、自分自身が若干「境界例」的であることを発見、とっても驚く。1冊で2例を学べるお得な読書体験となった。筆者は常に自らの姿勢や理論を点検し、最善であろうとする。自分の頭も明晰になった気になる1冊。2012/08/31
こういちろう
0
境界型人格障害と自己愛人格障害の違いがこれほどクリアーに解説された類書はない。いま時マスターソンを読むならこの1冊で十分。2010/06/10