内容説明
スリッパの使い分けに戸惑ったり、うわっ、このスリッパ、トイレのやつやん…!日本人に「無宗教なんです」と言われて驚いたり、えっ?無宗教ってどういうこと…?「花見」が夜に開催されたり、いや、暗くて桜、見えへんやん…!マリ出身。大学学長。日本に住んで、30年。
目次
序章 空気読めない―暗号の国
1章 無宗教―「いただきます」って、宗教やん
2章 住宅―日本はスリッパ多すぎる!
3章 おもてなし―逆にこっちが、疲れるし
4章 花見―暗くて桜、見えへんやん!
5章 マナー―まわり見えてない行列やな
6章 観光地―この場所、矛盾だらけやで
7章 外人―マリにハロウィン、ないねんけど
8章 日本人―朝ごはんから、全体主義?
終章 空気を読む―共生の知恵
著者等紹介
サコ,ウスビ[サコ,ウスビ] [Sacko,Oussouby]
京都精華大学教授・学長。1966年、マリ共和国生まれ。高校卒業後、国費留学生として中国に留学。1991年、来日。京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了。博士(工学)。2002年、日本国籍取得。専門は空間人類学。「世界の居住空間」「京都の町家再生」「コミュニティ再生」「西アフリカの世界文化遺産の保存・改修」など、人間・社会と建築空間の関係性を調査研究している。バンバラ語、マリンケ語、ソニンケ語、英語、フランス語、中国語、関西弁をあやつるマルチリンガル(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
101
昨年の「サコ学長、日本を語る」の衝撃に較べて、「なんでやねん」のインパクトが薄い気はするが、それでも、日本社会の「空気」や「マナー」に対するサコ学長の指摘は傾聴に値する。「空気を読む」のは他者への配慮から生まれた工夫なのに、「空気」が無自覚的に他者を排除し内側に逃げ込むために利用され、これが「公共性の喪失」に繋がっていると言う。更に、マナーとは、そもそも他者への気遣いや共生の作法なのに、日本では、マナーの出発点が「他人の目」にあると指摘。日本を知り尽くし、日本を愛するサコ学長の言葉だけに、重く響く。2021/12/20
りょうみや
24
著者の本は初。マリ出身大学学長の日本文化論。サクッと読めるが奥が深い。言い換えるなら空気論の内容。日本の良いところも多く述べているが批判の方が手厳しい。日本人の「空気を読む」は協調性を超えて「逃げ」「問題の先送り」、物言わぬ文化は日本人同士でしか成り立たず、多様化する社会においては脆弱など。文中に所々挿入されている関西弁でのツッコミが的確でおもしろい。2022/02/10
ジャズクラ本
20
◎日本に30年間滞在し日本国籍を取得した、マリ共和国出身で京都精華大学学長である著者が見た日本の不思議のあれこれ。言われてみれば我々には当然と思われるヘンテコなことが軽い筆調でそこここに。時折差し挟まれるツッコミに笑いつつ、そりゃあ、外人さん戸惑うわなあ。。そんな表面的なあれこれが、読み進めていくうちに物事の核心に迫る奥の深い日本論になっていく。サスガ、、海外出身ながら伊達に日本の学長さんを務めてません。なまじな日本人よりも日本を知るマリ出身の日本人による一冊でした。2021/12/06
びぃごろ
17
大阪弁で語る京都精華大学学長のサコさん。生活コードの違いを紹介。マリの文化が興味深い。直接的で密なコミュニケ―ションを大事にするので挨拶だけでもへたをすると5分以上かかるとか、ゆかりのある苗字同士の人が出会うと(キツイ)冗談を言い合うとか、ゲストは家族の一員となって行動し自由に過ごすことでリラックスしてもらうなど。日本のおもてなしは時に重圧を感じることもあるという←これ注意しよう。あたりまえと思える暗黙のルールも見える化してイラストで示す。顔の見える関係性を大事にし、問題が起きたら対話ができることが大切。2022/02/25
ぷりけ
16
地方新聞で紹介されていたので読んでみた。マリ出身の著者が日本に来て感じたことなど、興味深く読んだ。関西弁でのツッコミあって楽しく読了。 日本は、文脈や暗黙の了解を持ちながらコニュニケーションをとるハイコンテクスト文化だが、私は嫌いだわ。空気を読み過ぎるし、ローコンテクストの方が明快でいいのに、思う。 まあ、空気を読むのが美徳とされている日本では、無理だよな2022/03/15