内容説明
「日雇い労働者の町」と呼ばれる大阪・西成。生活保護受給率は23%にのぼる(2019年)。でも、しんどくたって、今日も元気に子どもは遊ぶ。この町の個性的な支援者5人へのインタビューが描く、誰も取り残さない支援の地図!
目次
序章 生活困難地域での子ども支援
第1章 子どもたちがつくる場所―「こどもの里」の荘保共子さん
第2章 すき間を見つける視線―「わかくさ保育園」の西野伸一さん
第3章 見守りの同心円―「にしなり☆こども食堂」の川辺康子さん
第4章 はざまに入って一緒に行動する―アウトリーチと居場所をつなぐスッチさん
第5章 SOSのケイパビリティ―助産師ひろえさんの母子訪問
終章 社会を小さなすき間からつくる
著者等紹介
村上靖彦[ムラカミヤスヒコ]
大阪大学人間科学研究科教授・感染症総合教育研究拠点(CIDER)兼任教員。2000年、パリ第7大学で博士号取得。第10回日本学術振興会賞受賞(2013年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くまさん
21
本書の方法論は「現象に巻き込まれたうえで、現象を現場の視点から言語化する〈現象学的媒介者〉になること」だという。インタビューの詳細な分析は、語り手とその実践をひとつの風景写真のように描き取っていく。西成北部で子ども支援、子育て支援を続けている方々の、「ニーズの範囲が仕事の範囲」という仕事観、子どもたちの声にどこまでも耳を傾けようとする姿、この地域で積み重ねられてきた福祉に心が揺さぶられる。居場所とは何か。見えにくいSOSに応答するとはどういうことか。きめ細かな配慮の行き届いた文章から多くのことを学ぶ。2021/05/07
ちや
11
こういうスポットライトを当てる研究は大事なんだろうな2021/06/24
ポカホンタス
9
今日が発売日。子どもの本の発売日が子どもの日というのも洒落ている。内容は圧巻。西成の子育て支援の様子が、個性的な支援者5人へのインタビューからありありと浮かび上がる。貧困、虐待などさまざまな困難の中を生き抜こうとする子どもたちと、支援する人々の息遣いが聞こえる。現象学の部分は少しとっつきにくいが、いくつかの大胆な解釈によって、それぞれの部分が奥行きを持って見えてくる。多くの著書を持つ著者だが、これが今のところ最高傑作ではないだろうか。2021/05/05
エドバーグ
5
上から目線は一切ないのが、稀有だと思いました。子供たちが、困っている本質に導いてくれる とは!! 大阪の西成で働く人々の肉声と著者が抽象化して普遍的な言葉に訳しているバランスが素晴らしいと思いました。2023/09/18
ゆるこ
4
今日は一日かけてこれ読んでた。 登場する人たちのエネルギーに圧倒された。 児童養護施設みたいな、ガッチリした組織の中で働く不自由さも自覚した。 みんなで協力して仕事に隙間を作って、やれることやれないだろうか。 この本の読書会とかやってみたらどうかな、でもみんな疲れきってるから集まらないかな、ムリかな、とか、ぐるぐる考え中2022/02/05