内容説明
自然主義を唱えたゾラ、自由劇場を創設したアントワーヌ、演劇雑誌を主宰したジュリアン、象徴主義演劇の可能性を示したメーテルランク。見えない「生」に取り憑かれた人びとの演劇論や戯曲を読みときながら、現代演劇の原動力となった俳優訓練術の萌芽を描きだす。
目次
序章 俳優「の」からだ
第1章 レトリックからスペクタクルへ―十九世紀末フランスにおける演劇の状況
第2章 夢みる自然主義―生への関心と無意識の探究
第3章 認識というドラマ―認知の内面化とあらたな劇作術
第4章 変容にさらされる俳優像―無意識の獲得という逆説
第5章 「脱力」と「型」にむけて―俳優の存在から生まれる演劇性
結び
著者等紹介
中筋朋[ナカスジトモ]
1979年生まれ。京都大学文学部卒業。フランス・リヨン第二大学演劇科Licence課程修了。フランス・パリ第三大学演劇科Master2課程修了。京都大学大学院文学研究科博士後期課程研究指導認定退学。博士(文学)。現在、愛媛大学法文学部人文学科表現文化論講師。専攻は演劇学、フランス近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Mikio Katayama
1
一通り読んだ。19世紀末から20世紀にかけての演劇論を丹念に拾い、この時代に生まれた新しい演技観、俳優観を浮き彫りにする。とても勉強になった。私にはもうこのような作業はできないように思う。 内面の意識の表現を目指したこの新しい演技・俳優についての考えが、現代の俳優・演技のありかたに繋がることをこの著作は示そうとしている。しかしこの道筋が説得力あるかたちで示されているかどうかは私には疑問だ。この著者と私のあいだには演劇観の違いもある。この著作についての私の見解、詳しくはまた別稿で述べたい。2015/10/31
葛
0
2015年3月31日第1刷発行 著者:中筋朋 発行者:髙島照子 世界思想社 印刷・製本:太洋社 定価:本体3500円+税 2020/01/23