内容説明
貧しさだけが移民の要因ではない。一般開拓団、青少年義勇軍ともに全国一多く送出した長野県は、社会運動の激しさでも際立っていた。経済要因では説明できない移民へいたる人びとの営みを、社会運動弾圧の影響や地縁などの視点から問い直す。
目次
第1章 満州農業移民の展開と長野県(満州農業移民の時期的展開;一般開拓団の送出と経済更生運動;長野県教育界における信濃教育会;小括)
第2章 一般開拓団の送出における経済要因の再検討(送出分布と経済指標;事例村における送出理由;個別の渡満理由;小括)
第3章 青少年義勇軍の送出と信濃教育会(青少年義勇軍送出の要因;信濃教育会の「海外発展」思想;二・四事件と信濃教育会;小括)
第4章 社会運動の軌跡と移民の送出(昭和恐慌下の農民運動と教員運動;二・四事件の発生と展開;社会運動と移民事業の相関;小括)
著者等紹介
小林信介[コバヤシシンスケ]
1972年生まれ。金沢大学人間社会研究域経済学経営学系准教授。金沢大学にて博士(経済学)取得。専攻は近現代日本経済史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
1
ふむ2022/04/17
shi-ma
1
きっかけは貧困問題だったけど、次第に国策やそれに影響された人々の動きで皆が満州に渡っていったという話は意外だった。ただ、あの人が行くのなら自分達もというのがなんとなく日本人ぽい話だと思った。2015/08/31
秋津
0
「満州移民」(のうち「満州農業移民」「青少年義勇軍」)の最大の送出県である長野全県の事例を分析し、その実態を考察する一冊。 「経済的な問題(貧困)から自発的に満洲へ渡った」という観方を家計水準や耕地面積などの数値を用いて否定し、一方で全県的な教職員団体「信濃教育会」の海外志向と国策としての移民事業への関与や村内における「中心人物」「中堅人物」による村民の移民への動員といった移民を取り巻く要因について興味深く読むなど。 社会運動と移民の関わりについての指摘は重要と思うものの少し「?」と思えなくもなく。2018/05/27
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