出版社内容情報
日本、アジア、ヨーロッパでの長年のフィールドワークから、医療を相対化し、女性が健康で満足できるお産のあり方を提唱する。
内容説明
女性たちが幸せになれる出産とは?人生に大きな影響を及ぼす妊娠と出産。どの社会にも、女性に寄り添い、妊娠、出産を見守る産婆や助産師がいる。日本、アジア、ヨーロッパでの長年のフィールドワークから、女性が健康で満足できるお産のあり方を提唱する。
目次
第1章 文化によって構築される出産(文化人類学の出産研究;出産の原点―産む・とりあげる・生まれる;女性の出産経験が作られる)
第2章 日本の出産はどう変わったか―出産が医療の対象になる(出産の前近代・近代・ポストモダン;前近代の出産―家と地域の中の出産 ほか)
第3章 産みの場と権力(アグネス・ゲレブ事件;ハンガリー女性の出産―アグネスと女性たちへのインタビュー;自宅分娩をめぐる裁判;自宅分娩はなぜ問題となるのか―病院・自宅・救急車)
第4章 女性の健康と人権が守られる出産へ(正常産(ノーマル・バース)を大切にする
出産場所の選択―イギリスの場合 ほか)
著者等紹介
松岡悦子[マツオカエツコ]
大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。奈良女子大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jackbdc
6
自然な出産の価値を見つめ直す事を主張する。本書を通じて知ったのだが、僅か60年前まで出産は自宅でするものであり病院は少数派であったが、その後10年で完全にひっくり返った。現代、出産は病気モデル(正常な出産か否かは終わってみないとわからない)となり乳幼児死亡率は大幅に低下した。それと引き換えに医療のコントロール下に置かれるようになった事で、自然な出産を通じて得られる大切なものを失う事になってしまっていると述べる。安全性の確保と人としての尊厳の両立やバランスの改善が可能であるという主張の方向性には同意したい。2021/11/02
Uzundk
3
斜め読み。出産が日常の生活の中から分化され医療の所属となり病理化されている現状への問題提起。それまでは助産師がいても、産む行為と取り上げる行為は母親のものであり、祝福も感謝も母親に向けられた。だが、医師が介入するようになって、出産をコントロールしようとしたあたりから、女性にとってただしんどい上に精神的にも身体的にも負担があるうえ医師に感謝を迫られる。出産が文化的なものから、身体異常で治療を必要とする状態と受け取られることで、出産を生活から遠ざけられているのだなと感じた。2014/10/09
ばんち
0
めちゃくちゃ面白かった。本来出産はとても幸せなことのはずなのにキャリアプランが崩れるとか、時間が取られるとか、そんなネガティブな一面ばかりを見ていた私にとって改めて出産とは何であるかを考えることができる良書だった。病院で産むのが当たり前だったけど本来介助なんていらずに産んでたし、社会的文化的文脈によって変わりゆく出産や妊娠に対して再考できた。通過儀礼としての出産、女性としての出産、生き物としての出産。私はどこで産もうか。痛みの作用の話も面白かったなあ〜妊娠したらまた読みたいかも 2021/02/12
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