女性ホームレスとして生きる―貧困と排除の社会学

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  • サイズ A5判/ページ数 289p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784790715931
  • NDC分類 368.2
  • Cコード C3036

内容説明

路上にとどまる彼女たちの「意志」とは何か?女性ホームレスの知られざる生活世界に分け入り、個々の生活史や福祉制度の歴史から、女性が社会的に排除される過程を浮き彫りにする。彼女たちの声に耳を傾け、自立を迫る制度の前提にある主体とは何か、意志とは何かを問い直す。

目次

第1章 女性ホームレスのエスノグラフィに向けて
第2章 女性ホームレスとは
第3章 女性ホームレスを対象とした福祉体制の成立
第4章 福祉施設の利用とジェンダー規範
第5章 女性野宿者たちの生活世界
第6章 野宿をすることと野宿を脱すること
第7章 変化のプロセス
第8章 主体化の魔力に抗して

著者等紹介

丸山里美[マルヤマサトミ]
1976年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得認定退学。博士(文学)。専攻は社会学。現在、立命館大学産業社会学部准教授。共著に『フェミニズムと社会福祉政策』(ミネルヴァ書房2012)、『ホームレス・スタディーズ』(ミネルヴァ書房2010)、共訳にマイク・デイヴィス『スラムの惑星』(明石書店2010)などがある。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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こばまり

59
貧困や格差でなく、ジェンダーをテーマに展開。社会生活からの一つの逃避形態ともいえるホームレスにおいても、社会から与えられた女性としての役割を求められるという指摘が印象的であった。参与観察の労作。 2020/02/05

どんぐり

57
ジェンダーの視点から論じた女性ホームレスのエスノグラフィ。ホームレス全体のなかで女性はわずか3.2%(厚労省、2012)。リサーチクエスチョンは、「なぜ女性のホームレスは男性と比べて圧倒的に少ないのか?」である。女性に家から出ることを思いとどまらせ、そこからなかなか逃れられないように作用していたのは、「男性が賃労働をし、女性が家事労働をする」という家族モデルの規範であった。日本の労働市場や社会保障政策は、女性に性別役割を遂行することを前提に設計されており、それが依存して生きざるをえない女性たちを女性役割に2015/08/21

37
「ホームレス」と聞くと、頭に浮かぶのは中高年~高齢の男性の姿。今まで男性にのみ目を向けられてきた問題について、ジェンダーを軸に論じられています。前半は、女性ホームレスの定義などについて、後半は女性ホームレスの生活について。同じホームレスでも男女で福祉体制が違うこと、意思決定が必ずしも本人の意思によるものではなく周囲の影響を多大に受けること、男女共同で生活をしている場合、女性が主婦的な役割を担うのではなく、経済的貢献度により役割が変わることなどを知りました。ほかに文献があればもう少し読んでみたいです。2015/05/29

ころこ

32
女性が「家」に縛り付けられ、居候や施設に否応なく身を寄せていることによって可視化されないジェンダーバランスの深刻さが、日本における女性ホームレスの少なさの要因であるという逆説を論じています。「しばらくして夫が刑務所に入る。夫の留守中にも関わらず継子の養育をすることに疑問を感じたAさんは、一人で家を出る。」Aさんはその後再婚しますが、借金苦から夫と共に野宿します。Cさん55歳。26歳の時に結婚し3子をもうけ裕福な生活を送る。夫の浮気と子供のいじめにより40歳の時に離婚。実家に居づらく、住込みの家政婦をするが2020/11/29

けんとまん1007

27
確かに、ホームレスという言葉からは、男性ホームレスと言う姿を思い浮かべることが、圧倒的に多いと思う。メデイアの影響かもしれないし、書かれているとおりの統計的な数値からくるのかもしれない。一個人としては、そこから判断せざるを得ないのが実情でもある。しかし、そこには、そもそもという視点や、環境の違いなどがなおざりにされているのだと思った。これをきっかけとして、学ぶべきことは、とても多い。2016/01/08

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