内容説明
万葉・古今・新古今から、近世の歌、近代短歌(啄木・晶子・子規等)までの370余首を鑑賞し、日本の古典和歌の歴史を俯瞰すると同時に、和歌の情報に満ちあふれている。
目次
第1部 古代の和歌の歴史(『万葉集』第1・2期;『万葉集』第3・4期;『古今集』とその前後―平安時代前期;新風への気運―平安時代中期;『千載集』の成立まで―平安時代後期)
第2部 中近世の和歌の歴史(『新古今集』の成立―鎌倉時代初期;新古今以後―鎌倉時代;南北朝・室町・戦国時代の和歌;後水尾天皇と同時代の地下歌人たち―江戸時代前期;県居派・江戸派・桂園派の歌人たち―江戸時代中・後期;幕末の歌人たち;和歌から短歌へ)
第3部 キーワードによる通覧(題詠;女流歌人―その挑戦;和漢)
著者等紹介
鈴木健一[スズキケンイチ]
学習院大学教授
鈴木宏子[スズキヒロコ]
千葉大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinaba
1
漠然と、ここ100年くらいの短歌はその前1300年の和歌とくっきり異なっているように見えて、しかし言葉も変わるしそれはある種当たり前だよな…と思っていたものが、こう、ずしりと重い歴史の流れとして見せられると、変われたことが逆に奇跡のようにも思えてくる。と思いきや、さて1000年後の和歌史から見返すと、現代も○○派様の流れを基本として汲んでいることに変わりはないくらいのまとめ方になったりする可能性もあるのかなとも考える。2020/01/21
残心
0
和歌の歴史についてとても丁寧に解説してくれている。 しかし知識が乏しい私には、解説が丁寧すぎてついて行けず、かえって退屈に感じてしまった。 もっと知識を深めてから改めて読みなおしたい。2015/10/22
山がち
0
改めて読み返すと、ずいぶんと読み落としが多かったことに反省させられた。京極派の類型化の指摘や、二条派が受け入れられていたのは戦乱の最中という特異な時代であり、そこからもその評価を再考できるのではないかということだったのだけれども、ここに気が付かなかったのは正直もったいないことをしたと思った。ただ、一方で十三代集の各歌集の説明を読んでいると、かなり物足りないものがあった。『日本古典文学大事典』ほどではなくとも、もう少し時代の流れにおいて説明してくれてもよかったのではないかというような恨み言も言いたくはなる。2013/12/20
山がち
0
再読したけれども、やっぱりとても面白かった。改めて読み返すと、八代集それぞれについてかなり丁寧に書かれているように思った。古今集から新古今和歌集まで、各歌集の特色が出ているように思われた。また、十三代集に関しても、その成立についてきちんと書かれているので、これはこれで興味深かった。一冊という中に、本当にコンパクトに詰め込んでいて、しかも初学者にも読みやすいのだから、本当にすごい一冊だと思った。いずれ、本書の内容をある程度きちんとまとめたいというか、まとめなければならないと思ったほどである。また再読したい。2013/08/15
山がち
0
万葉集に始まり、中世は勅撰集を中心として、短歌の黎明期までの和歌史を書いている。和歌史の概論としては非常によくできていて、特に軽視されがちな『新古今』以後の流れにも『八代集』と同じくらいしっかりとページを割いている。和歌・古文・歴史の知識の有無にかかわらず、得るところが大きいであろう。和歌及び和歌史入門としては必読ではなかろうか。テーマ史もあるがこちらは少し物足りないことと、和歌といっても短歌形式のものにほぼ限定されているという欠点もないわけではないが、これを補って有り余る出来栄えであることは間違いない。2013/04/20