内容説明
人々は自己を伝え合うことによって個として生きることができる。個を否定する全体主義と闘ったアレントの思想を、「伝える存在」としての人間論として読み解き、その根底にある“人間を肯定する意志”から公共性の意味を捉え直す。付論:フランス前期中等教育における市民教育のプログラム。
目次
第1章 伝えること
第2章 分断すること
第3章 異なる視点に立つこと
第4章 自己に誠実であること
終章 要約と若干の考察
付論 フランス前期中等教育における市民教育のプログラム
著者等紹介
亀喜信[カメキマコト]
1990年京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、大阪府立大学総合教育研究機構准教授。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Stemonitis m.(すてもに)
2
人間のコミュニケーション、相互行為、思考といったミクロな視点に立ち返って(或いは、彼女が生きた時代の中で、人間というものをどう捉えたかということに即して)、アレントの政治的な可能性を問い直そうという本だと理解した。彼女が立ち上げようとした(という気がする)大文字の政治の基礎づけとして、こういった人間の能力に焦点を当てるというのは実際にアレントもしていたし、それを読み解いていくという方向性にはなるほどと思った次第。しかしプロパーなアレント研究者でもないと、やや散漫で綺麗すぎる感あり。2012/11/13