内容説明
「原初バブル」の全貌とともに甦る『メサイア』作曲家の真像。原初バブル(南海泡沫事件)はどのように発生し、いかなる余波を伴ったのか。ドイツ・ハノーファーの王位継承工作要員としてイギリスに送り込まれた音楽家ヘンデルの活動を通して、事件の真相を究明する。
目次
序章 隠蔽されたオペラとバブル
第1章 イングリッシュ・コネクション
第2章 王位争奪戦
第3章 安定までの試練
第4章 黄金時代の構築
第5章 膨張と崩壊
第6章 金融クーデター
第7章 オペラの死闘
第8章 果てしなき四旬節
終章 復活の日
著者等紹介
山田由美子[ヤマダユミコ]
大阪市立大学大学院修士課程修了。博士(文学)。大阪市立大学助教授を経て、神戸女学院大学教授。ロンドン大学客員研究員(1995)、大阪市立大学経済学研究科客員研究員(2007‐08)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤクーツクのハチコ
0
ジョージ一世がヨーロッパの調停の為に育て上げスパイとして使ったのがヘンデルだったとか、音楽家による政治的背景を巻き込んだ勢力争いとか、戴冠式用音楽にグレゴリオ葬送曲の旋律を紛れ込ませて皮肉るとか、本当か?と思う要素は多いけど見方として面白い2012/07/07
hika
0
無能な王ではなく「世界の調停者」としてのジョージ一世と「オペラの帝王」としてのヘンデルという再評価を、「原初バブル:南海泡沫事件」の再検討、単なる投機熱ではなく、イギリスの国家戦略としてのそれを通じて試みる。18世紀初頭の政治史、経済史、国際関係史、音楽史が絡み合い二人の巨人と「理性の黄金時代としての」18世紀初頭を魅力的に描き出す。その非常に物語的な著述の妥当性には多少の疑問もあるが(著者が利用している先行研究を未読のため何とも言えないが)読み物としては非常に楽しい2009/08/01