内容説明
明治以降の日本における公害問題・環境問題の通史的な把握をめざしつつ、代表的な事件を考究し、問題が日本の国家の制度や社会のシステム、人間の意識、学問のあり方などに与えた多様な影響を注視する。画期的な座右の史書である。
目次
第1部 通史―日本の近現代史と公害問題・環境問題の推移(戦前;戦後から高度経済成長期;地球環境問題の時代)
第2部 被害の実例に見る公害問題・環境問題の展開(戦前;戦後;現代の諸問題)
第3部 公害問題が問いかけているもの(制度・システム;人間・意識;学問・技術)
第4部 年表および参考文献
著者等紹介
小田康徳[オダヤスノリ]
大阪電気通信大学工学部人間科学研究センター教授、財団法人公害地域再生センター(あおぞら財団)付属西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)館長、文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なーちゃま
1
一次史料に基づき徹底的に公害を語り尽くした本。最初の序文に代えての講演に感銘を受けた。「公害問題は終わった」「公害は1960年代に急にひどくなった」などの、よくあるイメージを払拭してくれる本。公害が激甚化したのは、公権力にとって公益の概念が、「そこに住む人の生活を脅かさないこと」から「国の経済発展に資すること」に転換したことで起こった。つまり、何らかの汚染があって、それに苦しむ人がいて、その人たちのハピネスを犠牲にしても、国全体のハピネスの向上が正義であるという公権力の態度が背景にあるのだということ。2023/01/25
ケー
1
ゼミで使う本なので、使うところ以外はさらーっと。前知識なしだと公害がトピックとして語られるのは50~60年代の四大公害病が主だが、その裁判も中心は70年代。そしてそれを乗り越えて発生した「環境問題」。2013/06/19