内容説明
地球規模で進行する急激な変動の時代、北方文化を語ることは、単なる地域研究の枠を超えて、人類学が抱えている普遍的課題に立ち向かうことである。「人間とは何か」というテーマのもと、現代の文化人類学が直面する喫緊の問題を鋭くえぐり出す。
目次
1 理論的展開(北方研究の展開;心の文化・生態学的基盤)
2 研究の社会的役割(研究倫理と先住民族アイヌの人権;北海道大学におけるアイヌ・北方文化研究とアイヌ新法の制定)
3 地球環境問題と開発(人類の生態と地球環境問題―ポスト社会主義下におけるクジラの利用と保護;北方先住民の社会経済開発―カナダ・イヌイットの場合)
4 歴史性(ポスト社会主義時代の人類学的北方研究)
5 伝統の再構築(アイヌ語研究の課題と展望;文化復興から読む宗教と自然の意味―ハンティ、サハの事例から)
著者等紹介
煎本孝[イリモトタカシ]
1947年生まれ。北海道大学大学院文学研究科教授。Ph.D.
山岸俊男[ヤマギシトシオ]
1948年生まれ。北海道大学大学院文学研究科教授。Ph.D.(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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★★★★★
2
アイヌを含む、環北極海圏を対象とした人類学研究の論集。下の方も指摘されていますが、山岸氏による社会心理学の論文が浮きまくってますwww それ以外はいずれも小論ながらよくまとまっている印象でした。人類学全体に対する問題提起になりえているかは疑問だけど、日本における北方研究の総括と展望としては参考になります。2010/01/20
コマイヌ
0
(科学たる自然人類学を除いた)人類学って一体何の役に立つの?と手に取ったが結果は役に立つ人類学とは政治活動か人口統計調査か言語学かでしかないのか?と。ただこの最後の言語学が必要な作業の途方も無さに慄きつつもとても面白かった、フォークロアの意図は民話そのものより語る言葉だったのかも?2016/09/28