内容説明
「異文化理解」から「他者了解」へ。現代インド社会における宗教対立・紛争のメカニズムを考察し、信仰生活の現場に密着した視点から、「生きられた宗教」の融合力に注目することによって、排他性の溶解の可能性を提示する。
目次
「他者了解」という現代人類学の課題
第1部 宗教紛争の歴史と現在―宗教の排他性の発現(植民地主義の遺産―セキュラリズム(政教分離主義)とコミュナリズム(宗教対立主義)という難題
近代開発主義の閉塞―経済自由化とコミュナリズム
都市祭礼の創出とコミュナリズム言説―「拡張された宗教」としての暴力)
第2部 庶民宗教の実相―生活宗教にみる融合力(生活世界の信仰から見直すコミュナリズム現象―女神崇拝とダルガー崇拝の信仰現場から;「宗教空間」としての歩道空間―チェンナイ市の「歩道寺院」の盛衰)
第3部 他者了解の人類学的作法―紛争と差別の「周辺」と「境界」(「不可触民」研究の対話作法―「不可触民」はどこへ行ったか?;異文化理解から他者了解へ―他者を自分のように語れないか?)
著者等紹介
関根康正[セキネヤスマサ]
1949年生まれ。東京工業大学工学部土木工学科卒業。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程(地域計画専攻)修了。ロンドン大学SOAS(東洋アフリカ研究学院)大学院博士課程修了。Ph.D(社会人類学)。日本女子大学人間社会学部・大学院人間社会研究科教授。専門は社会人類学・南アジア社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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