内容説明
現代の英・独・仏語圏の哲学における「ドイツ観念論」像を提示、理性・倫理・自然・芸術・歴史・宗教などドイツ観念論の主要テーマの系譜と展開をたどる。手引きとして、フィヒテ・ヘーゲル・シェリングの主要著作20余点の詳細な解説を付す。
目次
序論 ドイツ観念論とは何であったか/ありうるか
第1部 種々の「ドイツ観念論」像(フィヒテとシェリング―「絶対知」について;シェリングとヘーゲル;ヘーゲルとマルクス―アルチュセールのマルクス論;ヘーゲルと現代英語圏の哲学―理性と歴史をめぐって;分析哲学とドイツ観念論;フランス現代思想とドイツ観念論;ドイツ現代哲学とドイツ観念論―ウルリヒ・ベックの「リスク社会論」)
第2部 主要問題の系譜とその後の展開(理性―あるいはシェリングの「無底」の射程;倫理;自然;芸術―その終焉についての言説をめぐって;歴史―体系の構築と解体;宗教)
第3部 主要著作への手引き(フィヒテ;ヘーゲル;シェリング)
特別寄稿 ヘーゲルの「具体的普遍」とは何か
著者等紹介
大橋良介[オオハシリョウスケ]
1944年京都市に生まれる。1969年京都大学文学部卒業。1973年(独)ミュンヘン大学大学院博士課程修了(哲学博士)。1985年(独)ヴュルツブルク大学で教授資格取得。大阪大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
8
近代合理主義は自然・人間を機械のように見なし、バラバラに分解し、その秘密を解き明かした。闇は隈なく駆逐されるはずだった。しかし、神秘主義の伝統を受け継いだドイツ哲学は、そこに理性に抑圧された「生」を観た。生の闇に分け入り、闇自体を組み込んだ体系を作り上げる。これがドイツ観念論の試みだった。しかし、闇は体系から逃れ続ける。ドイツ観念論的体系の完成が、その崩壊の始まりでもあった。奇しくも、現代社会がドイツ観念論の歴史を繰り返してる。閉じられた体系と化した社会に、征服されたはずの「自然」が、姿を変えて復讐する。2021/04/03
naoya_fujita
0
ドイツ観念論初心者の僕にとっては、個々の用語説明や主要著作紹介も勉強になったが、フランス現代思想や英米哲学との関係性を描いてくれた第一章は大変勉強になり、啓発されるところが大きかった。2009/12/14
stray sheep
0
解説の親切さおよび扱われる内容から推察して、卒論でドイツ観念論を扱おうとしているような人を狙っているのだろうが、それにしては書名がややミスリードか2024/07/14