内容説明
現代の政治的規範理論の思想的伝統―過去の文脈との相克と融合を価値中立的に解説し、自らの立場を築く上で前提になるべき正確な理解を目指す。
目次
政治思想史と政治的規範理論
今日の規範理論の隆盛―脱行動論革命と実践哲学の復権
「政治」の誕生―公共性概念の歴史
功利主義の誕生と変容―人間学から公共哲学へ
市民的規範理論(正義の現代的基礎付け;市場社会の倫理性)
共和主義的規範理論(シヴィック・ヒューマニズムの系譜;「公的空間」の創出)
コミュニタリアン的規範理論(「生活世界」の政治学;「言語論的転回」以降の政治学)
ポストモダン的規範理論(反基礎付け主義;権力論の変容;フェミニズム)
著者等紹介
小野紀明[オノノリアキ]
1949年生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。87年、京都大学法学博士。神戸大学法学部教授を経て、京都大学大学院法学研究科教授。西洋政治思想史専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
manmachine
3
★★★★★ 非常に面白い。少なくとも「思想」なるものに興味のある人間は必読。プラトンからコミュタリアニズムまで一定のパースペクティブを示した記述になっている。一応、公共政策大学院の教科書という体裁だが、著者の繊細かつ大胆な記述によりグイグイ読める。後半はフーコーやデリダが出てくるが、いわゆる「表象文化論」的おフランスな衒学性とは一線を画し、あくまでも規範理論として記述することに徹している。2009/12/17
けいぎ
2
思想史系の人が規範理論を概説する試み。共和主義的な主張にも、ローティにも言及がある、非常に視野が広い本。2015/08/11
デンプシー
1
非常に面白かったし、勉強になった。今回は、特に心に残ったパートについて記していく。まずアリストテレス。コミュニタリアニズムの文脈で度々参照されるものの、よく知らなかった彼の思想に触れることが出来たのはとても良かった。次にアーレント。最近彼女の解説書を読み「よくわからないし微妙…」という感想を持ったが、本書での現象学的な視点を補助線にした解説でやっと掴むことが出来たと思う。彼女の思想の通奏低音が、目からウロコの解説で徐々にわかっていくプロセスは非常に知的刺激に溢れていた。その他にも発見が多く、楽しかった。2022/07/26
check mate
0
4周目。読むたびに新しい発見があるのは、私の頭が悪いということだけが理由ではなかろう。2015/02/28
katashin86
0
大学院にて著者小野先生の講義テキストとして購入。2022年岩波現代文庫として増補版刊。2013/07/04
-
- 電子書籍
- 片田舎のおっさん、剣聖になる 4 ~た…