内容説明
青い海、白い砂浜、珊瑚礁と太陽―「南国」観光のイメージはいかに開発され、売買されるか。地球環境問題がクローズアップされる昨今、とみに注目される観光開発を文化研究の視点で批判的に読む意欲的論集。
目次
第1章 観光開発と文化をめぐる政治経済学
第2章 観光開発と文化研究
第3章 ローカル、グローバル、もしくは「ちゃんぷるー」―沖縄観光における文化の多様性とその真正性をめぐる議論
第4章 儀礼の保有者、儀礼の在処―ヴァヌアツ・南部ペンテコストのナゴル儀礼と観光
第5章 観光文化としての先住民家屋―ニューカレドニアのカーズ観光
第6章 未知の世界、「漂う」人びと―ソロモン諸島におけるエコ・ツーリズムと「開発参加」
第7章 エコ・ツーリズムの考察―一九八〇年代からのフィジーにおける観光開発
著者等紹介
橋本和也[ハシモトカズヤ]
1947年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士課程単位取得退学。現在、京都文教大学人間学部教授、博士(人間科学)
佐藤幸男[サトウユキオ]
1948年生まれ。明治大学大学院政治経済学研究科修了。現在、富山大学大学院教育学研究科教授、政治学修士
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★★★★★
1
太平洋地域における観光開発とその現状、今後の課題や展望についてを考察した、七篇からなる論文集です。特に、最近流行のエコ・ツーリズムや「持続可能な観光」といった言説の分析を通して、(エコ=正義)的な風潮を厳しく指弾するものになっています。ロハスや世界遺産なんかも同様ですが、そうした耳触りが良いだけの言葉を無批判に受け入れるような能天気な人々にとっては、それこそ耳の痛い一冊でしょう。2009/07/21
Aleksander25
0
観光開発をフィジーやニューカレドニアなどの南国を例にして批判的に論じている。ソロモン諸島での住民参加型の観光開発に成功したものに対する、観光開発に関与しなかったもののジェラシー、からの相互協力の論文は興味深かった。これが理想の観光開発に近い形だと思う。2011/10/29