内容説明
啓蒙の十八世紀に異彩を放ち、「深遠なる精神の人」と呼ばれたヨハン・ゲオルク・ハーマンの人と思想を、カント、ヤコービ、ヘルダーら同時代人と交わした書簡をも駆使しつつ、哲学的、神学的かつ文学的側面から見事に描き出した著者ライフワークの結晶。
目次
第1章 回心に至るまで
第2章 ソクラテス的実存
第3章 『オプティミズム試論』と「断片的なもの」の救済
第4章 ドイツ的啓蒙の問題
第5章 理性のメタ批判者の態度
第6章 理性の純化と数学・形式の特質
第7章 分析・抽象化・体系
第8章 ハーマンにおける理性と矛盾
第9章 ハーマンの言語思索
第10章 ハーマンにおける解釈学的問題
第11章 十八世紀における哲学の転換要求
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有智 麻耶
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カントの陰に隠れてあまりとりあげられない哲学者ハーマンについての略伝と各論。彼の言語論に関心があり手に取ったが、他の思想家との関係なども読んでいて面白かった。チャールズ・テイラーが『言語動物』で、ハーマン、ヘルダー、フンボルトの三名を表現-構成的言語論の始祖として挙げ、ハイデガーやウィトゲンシュタインをその系譜に位置づけているというのもわからなくない。ハーマンにおいて、理性や存在は非言語的ではありえず、むしろ言語そのものである。人間だけがもつ、〈ことば〉の不思議さにはじめて気づいた人物かもしれない。2020/10/23
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