内容説明
「色好み」なる女とはいかなる存在なのか。「色好み」なる男とどのように異なるのか。小町説話の形成過程にその源流を訪ね、「色好み」の女のゆくえを見定める。
目次
序章 「色好み」とは何か
1 小野小町―「色好み」の原型
2 和泉式部―『浮かれ女』の風評
3 建礼門院右京大夫―意志と運命
4 後深草院二条―「色好み」の出家
5 兼好―美的理念の深化と限界
終章 「色好み」の行方
感想・レビュー
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きいち
30
色好みはもともと、性的な放縦を意味するわけではない。歌詠みであって、かつ男なら業平のように行動すること、女なら選び、拒める存在であること。しかし中世、そのイメージは変化していく。小野小町も和泉式部も、御伽草子の中では拒んだことが惨憺たる落魄につながったと描かれる。建礼門院右京太夫も後深草院二条も、そのリスクを踏まえて自らの生き方・語り方を実現する。◇目当ての「二条」論の半分は既読の論文集にあったものだったが、この流れに位置づけられるとよりポジティブ。◇「無名草子」の小町観がいい。いい現代語訳ないかな。2020/04/13