感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひな
13
ひょんなことから彼の短歌の一つに出会ってその素晴らしい感性に脱帽し、その歌が入っているこの歌集を借りた。彼の若い頃の作品を収録した歌集なのだけど、日常の見過ごしがちなひとこまや若き日の恋愛の生々しさや瑞々しさを、その静謐なのに力強さをもった感覚で31文字に落とし込むセンスたるや。「泣きながら極論を言うくちびるが幼虫のごとつやめきて見ゆ」が一番好きでした。巻末収録の跋で永田氏が述べられていた、普段は常識の陰に隠れて気づくこともなく済ましてきたものたちの、あり様を気づかせてくれると言うのが正にその通りで感服。2024/08/04
まぁみ
12
新装版の刊行を知り購入。椰月先生が栞に寄せた文がまたとても良くて。吉川作品大人買いを決めた次第です。同世代である吉川さんの18歳から25歳の軌跡。最近は今どき(って言っていいのか分からないけれど)の歌人さんばかり目にしていたので、古き良き時代をひしひし感じる言葉の重みが、力強い。日常を多方面から捉えた言葉選び…とても深い。出会えて本当に幸せです。好きな歌ばかりで選ぶのが難しいが…2首を/ウナコーワ夏の夜更けに塗りながら「死す」は音読み「死ぬ」は訓読み/桑の葉を食べてきたような緑便が泣く子の尻の下にあらわる2023/09/06
clintwestwood
0
端正な文語で乾いたユーモア感覚を目ざとく感じさせない 恋人のことを詠うときは誰か第三者の描写があり、クッションがある方が叙情を抑制することができる→ 歴史的文脈に興味を持てるようになりたい ポップな口語の歌も意外に多くて効果的に詠まれている 英単語も導入されていて現代短歌的な面も 跋文:基本的に吉川宏志の歌は発見の歌 情報の流れに無理がない2025/03/04
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