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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kaoru Murata
9
東日本大震災で被災した作者が三年の時間を経てようやく編むことができた一冊。 第11回葛原妙子賞を受賞。/倒れうるものはたふれて砕けうるものはくだけて長き揺れののち/地獄だと言ひてそののちおとうとの携帯電話は繋がらざりき/跡形も無き町筋のまぼろしの間口を思ひ描かむとして/ありがたきことだと言へりふるさとの浜に遺体のあがりしことを/色の未だ戻らぬ町を揺れてゐる黄(きい)の帽子の黄のつばさは/生きてゐるうちに戻れぬ土地ありて風に明滅するヤブツバキ/祈ること移りゆきつつ二年(ふたとせ)を海に向かひて手を合はせたり2015/06/21
はち
6
東日本大震災の前の日々とその後の日々。基本的に淡々と描かれているのだが、日常の中に震災の影が強く残っている。日常を詠むということが結果的に震災を詠むことになっている。2016/03/14
yotaro
4
短歌の本だが、東日本大震災の時の状況がひしひしと伝わる。東日本大震災を語るには一番の短歌の本だと絶賛されている。当時の事が甦る。2015/10/25
outotsu
4
東日本大震災から9年がたったところで読み直しました。忘れていたことがよみがえり涙がとまりませんでした。これは歴史に残る本ですし残さないといけないと思いました。 歌が死者たちへ届く言葉であったならーー 東日本大震災から3年 すべては暮らしであり すべては祈りだった というあとがきのことばが染みました。 2020/03/13