内容説明
パキスタンのじゅうたん工房で、休みなく朝から晩まで奴隷のように働かされる日々…。あたしたちはもうだれも夢を見なくなっていた。イクバルがやってくるまでは。「ぼくは怖くない」イクバルは言った。イクバルが命をかけて示してくれたもの―それは、どんなに強大な相手でも立ち向かう世界一の勇気だった。
著者等紹介
ダダモ,フランチェスコ[ダダモ,フランチェスコ][D’Adamo,Francesco]
1949年、イタリアのミラノに生まれる。一般向けの小説の執筆、推理小説のアンソロジーの編纂などを手がけるいっぽうで、「見捨てられたような場所でくらし、事件を起こしでもしないかぎり、存在すら忘れられている子どもたち」をテーマとした児童、青少年向けの作品を書き高い評価を得ている
荒瀬ゆみこ[アラセユミコ]
大阪外国語大学外国語学部イタリア語学科卒業、雑誌、書籍編集者を経て、現在イタリア文学翻訳家として活躍中
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
54
児童労働。自分も知らない間に、加担している可能性があると再認識。安い・・・には、安いなりの理由がある。そこに思いを馳せ、小さなことから始めること。2022/06/18
ころりんぱ
50
両親の借金のため4歳から絨毯工場で働かされたイクバル君、他の子どもが自分の置かれた状況にただひたすら我慢していた中で、たった一人で立ち向かって行った彼の物語を土台として書かれたフィクション。日本にいる自分には想像もできない事が世界にはあって、こうやって本を読むことで、知らなかったことを知ることはできるんだけど、私にはそこまでなんだな、とちょっと心が痛い。イクバル君の勇気は世界中に知られ、彼の遺志は引き継がれている。(今日、人質が殺されたと知る。あの人は世界の色々な情報を知らせようと行動していた人)2015/02/01
舞
45
小学生の頃に読了したなぁ。懐かしい。
たまきら
30
まっすぐ前を見つめるイラストにどきりとします。イクバルくんの生き方を読むたびに、(ああ、この子はかごの中の特別なカニだったんだなあ)と思います。かごの中にカニをたくさん入れると、外に出ようとするものの邪魔をするけれど、決してあきらめずにもがくカニは外へ出るんです。決してあきらめなかった彼の彗星のような一瞬の輝きは、多くの物を見聞きし、すっかり分厚くなった大人の心も焦がします。秀逸。2018/06/19
ヒラP@ehon.gohon
23
イクバルという少年を知ってから、どんな生涯だったのかが気になっていて見つけた本です。 事実を基にした創作であるということなので、ある程度の脚色はしようがないけれど、イクバルの人間像はぶれていないと思います。 自らを語るには、あまりにも早く命を絶たれてしまったのです。 少年労働という奴隷構造がまだ残っていた驚きとともに、生命の尊厳を押さえつけて成り立っている社会構造に怒りを覚えました。2018/02/10