内容説明
大地震に襲われて気を失った仙一たちは、気がつくとエンマ大王のいる王庁に迷い込んでいた。浄玻璃の鏡に映る娑婆での悪業―。もはや地獄行きかと思った仙一たちであったが、エンマ大王の持病を治す特効薬をつくってなんとかこの難を逃れる。しかし、5人をねたむ悪者たちによって地獄へつき落とされてしまう。仙一たちの危機を救おうとエンマ大王はともに娑婆への出口をめざして地獄めぐりをはじめる。
目次
1 死出の山
2 エンマ大王見参
3 孤独な大王
4 八大地獄めぐり
ひろさちやのまんだら漫歩録―大岡越前守とソロモン王
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かず
17
それほど強い印象は残らなかったが、一応記録する。昔の人は「嘘をつくと、閻魔様に舌を抜かれる」といって子どもをたしなめたものですが、今日、そんなことをいう親はいなくなってしまいました。そりゃあ、そうです。一億総中流の平和な時代が終わり、皆が生き馬の目を抜く競争時代の今、生き延びるには弱いものを騙して踏みつけてでも前に進め、という時代のように思います。・・・でも、私は思うのです。仏教の二大原理の一つ「縁起」は「原因と結果」の関係を述べるものです。悪いことをすれば、閻魔様は必ずその報いを与える。そう思うのです。2019/08/17
ワタナベ読書愛
0
1989年刊行。漫画:宮越義勝、原作:ひろさちや。下町のいたずら盛りの子どもたちが、大地震で死亡し、地獄めぐりをする話を通して、エンマ大王や地獄の様子を教えてくれる本。地獄システムは、死後の裁判が何度もあり、厳格で、まず悪人は助からない。この世で悪いことをしていた人が、しっかりあの世で延々と苦しむ様子を見ることで、「悪いことはよそう」と思える。昔の人の素朴な知恵だとは思うが、小さい子どもが「親不孝」とされ、賽の河原にいる場面だけは納得できなかった。単純明快で、手塚治虫風の昭和のかほりがする話が懐かしい。2023/10/10