内容説明
禅宗の悟りの手引きである「公案」三十則を取り上げ、従来にない踏み込んだ解釈で、現代を生きる我々に則して書かれた禅入門の書。
目次
隻手の音声―片手の音を聞け
趙州狗子―犬に仏性は有るか
巌喚主人公―真実のわれに呼びかける
芭蕉〓杖―人生の杖
拈華微笑―微妙の法門
大龍堅固法身―無常と永遠
雲巌大悲手眼―千手千眼の観音さま
百丈野鴨子―自己と他者
百丈野狐―狐になった老人
不思善悪―相対以前の絶対を凝視する
非風非幡―主観と客観
無情説法―山川草木の声を聞く
趙川喫茶去―お茶を召し上がれ
趙州洗鉢―足もとにある真実
平常是道―日々の生活の中にある禅〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
21
現代社会では多くの人々が、自分の抱く大切な問題にすぐに白黒をつけたがったり、簡単に正義と邪悪とをカテゴライズしたり、答えになかなか到達しない問いを早く手放したいと思い生きているように感じる。結果そのものではなく過程の大切さを、考えるということの大切さを忘れてしまっている。理屈では解読しようのないコトなんてこの世界には山のように溢れているのに、それを頭だけで読み解こうとするから深みに嵌る。支離滅裂な問いについてひたすら考え続けた末にやってくる自らが脳味噌ごと消え去るような瞬間というのは確かに存在している。2021/01/17
