内容説明
父亡きあと、ひとり暮らしをしていた母が逝った。ひとり娘の私に残されたのは、両親の思い出に満ちたこの一軒の家だ。私は途方に暮れた。あまりにも多くの「物」が、ここにはある。今までは触ることすら禁じられていた両親の大切な私信や思い出の品々。しかたなく片づけるうち、やがて姿を現したのは、まったく知らなかった両親の素顔と、ふたりが生涯抱えていた深い心の傷だった―。
目次
荒れ狂う心
家を空にするということ
死者の足跡をたどって
グランド・ゼロになった場所
ありすぎても、無さすぎても
山羊の背に載せられたリンゴのように
母のベッドで見つけた物
白く無垢な秘め事
母から受け継いだ遺産
持ち主を失った物たち
こんなに取り散らかして
喪の悲しみを乗り越え
著者等紹介
フレム,リディア[フレム,リディア][Flem,Lydia]
フロイト研究で知られる精神分析学者。ベルギー・ブリュッセル在住のフランス人
友重山桃[トモシゲユラ]
東京大学経済学部卒。1歳から高校卒業までパリで過ごす。経済から精神医療、美術まで、様々な分野のフランス語・英語の通訳・翻訳を手がけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みんと
6
誰もが必ず直面する親の死。 否応無く押し寄せる悲しみを抱きながら、同時に進行する手続きや片付け。 親が暮らしてきた全てを引き受けること。 自分の知らなかった親の秘密を知った時にはどう向き合えばよいのだろう。 とうてい人には理解してもらえぬ親子の間のみに存在する感情もある。 押し寄せる様々な思いと家の中を片付ける作業。 私にはできるのだろうかと複雑な気持ちになった。2013/07/31
もりけい
3
親の家を片づける時、どのような想いになるのか感じることができました。遺品からよみがえる思い出を整理することで、新たな旅立ちができるんです。2014/10/05
堆朱椿
2
親の家を片付ける作業は、親や子供の頃の自分と向かい合う作業。その苦しさが丁寧に描かれてます。物を処分するのは弾みがつくまでが大変ですね。2014/07/05
charuko
2
精神分析医である著者が、両親の遺品を片づけているうちに、生前けっして語ることのなかった戦争の傷跡に触れることになり……。親が遺した“もの”を通して親という人間を知り、自らの生き方を考える過程をこまやかに綴ったエッセイ。不仲だった母が縫ったドレスを友人に着てもらうことで、その美しさに初めて気づく場面がとてもいい。ジャンルも作風も違うが『おっぱいとトラクター』を思い出した。2011/09/20
ossa
1
一番身近で、影響をうけている特別な存在。それだけにいろいろな思いが去来する。作業は親を一人の人間として浮き彫りにしていく。特別であるからこそ、受け入れることが難しい。
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