内容説明
少女は、家族を奪われ、家畜のように売買された。虐待やレイプ、名前も呼ばれず、残飯を与えられている。人身売買は、いまだに存在している!地獄を生き抜いた少女の魂の叫び。
目次
プロローグ 襲撃
第1部 美しいふるさと
第2部 奴隷にされて
第3部 自由への旅
エピローグ 真の自由を求めて
ヌバの一少女の、希望へとつづく真実の物語
著者等紹介
ナーゼル,メンデ[ナーゼル,メンデ][Nazer,Mende]
スーダン中部に生まれる。少女のころに村を襲撃され家族と引き離され、そののち奴隷として過酷な生活を強いられるが、2002年12月、イギリス政府より政治亡命を認められ、現在はロンドンに在住。以来、さまざまな場所で、知られざる奴隷制の実態をひとりでも多くの人に知ってほしいと、自らの体験を語り続けている
ルイス,ダミアン[ルイス,ダミアン][Lewis,Damien]
メンデの救出に尽力したイギリス人ジャーナリスト。スーダンにおける人権侵害について取材を重ね、世界に向けて発信している。アイルランドのダブリン在住
真喜志順子[マキシヨリコ]
1965年東京生まれ。上智大学外国語学部卒。翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nana
86
図書館にあった、特設コーナーで手に取った一冊。まだ本当にある奴隷制度。ひどい、と一言では言い表せない。2020/10/18
さく
18
スーダンのヌバ族の少女・メンデの半生記。メンデは、ヌバ族のしきたりとして11歳で残酷な割礼(FGM女性性器切除)を経験しながらも、家族の愛に包まれ幸せな子ども時代を送っていた。しかし、12歳で民兵に村に火をつけられ、捕らえられ、奴隷として売り飛ばされる。朝から晩まで働き続け、食事は残飯のみ。外から鍵をかけられ納屋で寝る。数年後、ロンドンへ奴隷として送られることになり、そこで逃亡に成功する。こんなことが、たった20年前に起こっていたなんて。メンデと同じような境遇の少女たちが、自由を得ることができますように。2021/10/02
こぽぞう☆
14
近いからか、アジアの人身売買は何度か読んだが、スーダン。北部のアラブ人が南部の黒人の集落を襲撃して、村人を惨殺。女子供を奴隷として売るらしい。著者は12歳で誘拐され、家事奴隷として都市部に売られる。その労働環境は、先日読んだ南北戦争前のアメリカ南部より酷いかもしれない。さらに、著者は18歳くらいでロンドンへ送られ、大使館員の家で家事奴隷に。その後、ついに自由を得たとき「自由が怖い」状態だったという。全ページの最初1/4ほどを占める、子供時代のアフリカの村の生活の美しさ!2018/09/08
Yumikoit
3
図書館本。幼いころに、その部族の習慣であったFGMを経験する。子どもの頃は幸せに家族と共に過ごすが、スーダン民兵に誘拐され、奴隷として売り飛ばされて、イギリスに亡命するまで。 これはちょっと、子どもには辛い話だよな。FGMもあるしレイプシーンもある。当然読ませるつもりはなかったのだが、ふと手に取った5年生次男坊がものすごい勢いで読破したのはびっくりした。正直、いいのか?それは!?2014/03/19
monakamonnie
2
信じられない思いだけど、この21世紀に至ってもなお、スーダンでは奴隷制が存在するという驚愕のドキュメンタリーである。政権は、放置しているのか容認なのか。いずれにしても現在、スーダンは人権侵害国家として非難されているらしい。実態は、アラブ人による少数部族の奴隷貿易であり、これは看過できない社会悪である。本書は12歳の時に部族が襲撃され、一人略奪されて奴隷として生き延びるよりほかなかったメンデの実録である。2017/03/03