内容説明
美しいフランス人の女性がいる。彼女の名前はベルナデット。第二次世界大戦後の混乱した時代、アイルランドに流れ着いた彼女は小人症の息子フランキーを育てながら、様々な男性に恋をする。特異な肉体を持った自分は美の傍観者にすぎないと諦観し、やり場のない思いを夜空に向け、星に救いを求めるフランキー。傷つくことを恐れ愛を放棄し、軽やかに生きるベルナデット。数奇な運命をたどったフランキーが紡ぐ、星屑たちの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はりねずみ
6
小人症のフランキーは生れながらに孤独な生涯を宣告されていた。自身の容姿への評価は美への強い欲求となる。美女や星空を〝覗く〟ことで、決して手に入れられないものを遠くから見つめることで、欲求を満たすしかなかった。全ては物質、美も物質的なもの。フランキーはそう言うが、彼が翻訳する世界は耽美でとても美しい。フランキーは、得意の天文学と自身の生涯とを一冊の本にして出版する。奔放で美しい母ベルナデッド、ベルナデッドに引き寄せられ集まる男たち…切ない個人の諸々生が美しく絡み合う物語。復刊すべき一冊。2016/12/24