内容説明
キリストの普遍的なメッセージ“愛”を象徴する「聖衣」と、太陽や月や地球をたたえ、あらゆる造られしものたちを愛したフランシスコの生き方を表す「僧衣」。イエスは嘲笑され、力づくで服を脱がされ、フランシスコはイエスへの忠実ゆえに自らぜいたくな服を脱ぎ捨てる。「聖衣」と「僧衣」の探求は、世界を変えた稀有な二人の間を行き来する、想像を絶する旅となった…。聖フランシスコがこの世を去るときまで着ていた修道服は、アッシジのキアラが自分のマントから切り取った布で丹念に繕ってあった。継ぎはぎだらけのこの服は、「兄弟」を想うキアラの死をも超えた友情と深い信仰を証すとともに、現代のわたしたちに「切れ端を縫い合わせる」ことの重要さ、人間同士のつながりの大切さを語りかける。若者から高齢者までわたしたち全員には、ボロボロに引き裂かれたこの世というマントの裾を日々繕い直すつとめがゆだねられているのではないか。地球上のすべての人が平和に、兄弟として生きていけるように。
目次
1 二つの聖遺物を探し求めて
2 二つの衣の歴史と語源―トゥニカ(tunica)とトナカ(tonaca)
3 イエスの「聖衣」を探して
4 フランシスコの僧衣を探して
5 イエスの聖衣がある場所
6 フランシスコの僧衣はどこに?
7 聖衣の象徴性
8 僧衣の象徴性
9 イエス、フランシスコ、そして、共にいた女性たち
10 着ている服を、生きる
11 あなたにとって、聖衣とは、僧衣とは?
著者等紹介
フォルトゥナート,エンツォ[フォルトゥナート,エンツォ] [Fortunato,Enzo]
アッシジのコンベンツアル聖フランシスコ修道会士、ジャーナリスト、アッシジの聖フランシスコ大聖堂の広報責任者、月刊誌「San Francesco」編集長。「オッセルヴァトーレ・ロマーノ紙」の協力者、「アッヴェニーレ紙」、「コッリエーレ・デッラ・セーラ紙」、「Huffington Post紙」、「Gruppo QN紙」の寄稿者。イタリア国営放送RAI1の「Tg1 Dialogo」に出演、イタリア国営放送Radio1の「フランシスコと旅する」に声で出演。イタリアおよび海外でセミナーや講演会開催。平和と共通善のための国際支援プロジェクトに参加
太田綾子[オオタアヤコ]
1947年、東京に生まれる。フィレンツェ大学教育学部イタリア語・イタリア文学科卒業。教皇庁立ウルバノ大学マーテル・エクレシエ短期大学(宣教カテケーシス専攻)卒業。教皇庁グレゴリアン大学聖書学院でヘブライ語・ギリシア語を学ぶ。渡伊26年、1991年に帰国。日伊協会講師(1989‐97)。1993年、イタリア語通訳・翻訳会社「アド・イタリア」設立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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