内容説明
「疎外」はマルクスの革命思想の中枢概念。この概念の理解を妨げてきたのは新旧のスターリン主義とその諸変種(構造主義や物象化論)であった。本書はそれらの思想潮流を徹底的に斥けるとともに、いかにしたらマルクス疎外論の適切な理解が可能かをはっきりさせている。そして、二つの論文を追加した新版は問題を深めているだけではなく、マルクス疎外論論争の意義にいっそう鮮明に光を投げかけている。今、本書を読まなければ、マルクスについて語ることはできない。
目次
序 マルクス疎外論の理解をめぐって
1 マルクス疎外論の適切な理解のために(スターリン主義とマルクスの疎外論;『経済学・哲学草稿』と現代;『聖家族』における疎外論;『ドイツ・イデオロギー』における疎外論の発展;マルクスの疎外論と『資本論』;疎外 物象化 物神崇拝;エンゲルスの誤解―マルクスの思想形成をめぐって)
2 マルクス『経済学・哲学草稿』の研究について(日本における『経済学・哲学草稿』の研究;『経済学・哲学草稿』研究の躓きの石)
補論 忘れられない「四面楚歌」―一九七〇年代前半のマルクス疎外論論争
著者等紹介
岩淵慶一[イワブチケイイチ]
1940年生まれ。1964年東京大学文学部哲学科卒業。現在、立正大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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