内容説明
八代将軍吉宗の治政下、大坂に開設された堂島米会所をめぐり、自由な市場を目指す加嶋屋泰三ら米商人、これを支配下に置こうとする幕府、さらに吉宗に反抗する尾張藩主徳川宗春たちの、熾烈な闘いが展開する。歴史上初の証券・先物取引所の産みの苦しみを鮮かに描く。
目次
第1章 享保十六年(徳川宗春との再会;江戸幕府の苦悶;お仙との出会い;高間伝兵衛の登場;彦左衛門の裏切り)
第2章 江戸商人との戦い(肥後藩空手形事件;阿波屋お春の色香;危機一髪;神の見えざる手;天隠魔界の投げ文)
第3章 買い占め(阿弥陀池騒動;雲霞の襲来;立用;姫路藩主榊原正岑)
第4章 徳川宗春(帳合米売り崩し;火縄と暴れ馬;徳川宗春の蟄居)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
2
小説でわかる堂島米会所、といった作りの本なのですが、仕手戦など手に汗握る展開で、普通の小説としても充分楽しめました。2018/03/26
とりもり
2
堂島米会所を巡る陰謀が物語の底流になっているものの、あくまでメインテーマは当時の米市場の様子を活写することにあるとすれば、その狙いは非常に成功していると言えるだろう。相場の仕組みが非常に良く分かったし、その高度なシステムは、現代の相場と比較しても全く遜色ない。既に、江戸時代にこれだけのシステムを構築した大坂商人の智恵には敬服せざるを得ない。後は、この話のどこまでが史実で、どこからが創作なのかが知りたいな。逆に言えば、それほど良くできた小説とも言える。オススメ。★★★★★2012/11/11
あとぅーし
1
世界で最初の証券と先物の取引所が日本にあったって、これすごいことだよね。江戸時代のちょんまげ文化の中で、 映画の「ウォール街」みたいな取引を日本で行われていたのだ。僕自身は金融の知識が乏しいため、先物のシステムを理解していないまま読み進めたが、それでも米本位制の中で、売買にまつわる思惑、駆け引きは緊迫感があっておもしろかった。たぶん映画化するだろう。この作品じゃなくても、大坂堂島米買所をもとにした映画はいつか作られると思う。ジャンルとしては、大江戸金融クライムサスペンス活劇でござる。2023/07/24
山口 健俊
1
世界初?の先物取引所。権力の介入と、市場経済を守る人達の戦いがとても面白かったです。 NHKとかでドラマ化したらもっと面白いんだろうなあ。2019/02/02
ますん
1
大坂堂島米会所が、明治のわずかな期間に閉鎖はあったものの連綿と今に受け継がれ、シカゴ先物取引所の手本とみなされていることに胸が熱くなった。当時の先物システムの解説や大坂地理のうんちくは、大阪在住のトレーダーには特に興味深いと思う。物語のほうは、大坂vs江戸という図式で江戸が敵役になっているところが人によっては気になるかも。2013/11/09