出版社内容情報
特集は、紛争続くウクライナ、中東、南アジア情勢が、相互に影響を与えながら、どのように国際秩序を与えたのか、読み解く。
巻頭は、いままさに進行中のウクライナ情勢。8月15日の米ロ首脳会談以降の動きを練達のジャーナリスト駒木明義氏(朝日新聞)、原田憲一氏(時事通信)がそれぞれモスクワ・ワシントンの視点からレポート。続く川島真氏(東京大学)は、ウクライナ、中東、さらに緊張高まる南アジア情勢が、相互に関連しながら国際秩序に与えた影響を、グローバル・サウスの視点を踏まえて考察する。続く座談会は、3つの地域の紛争や対立にどのような共通性を見て取れるか、伊藤融氏(防衛大学校)、江崎智絵氏(防衛大学校)、湯浅剛氏(上智大学)の3氏が、現在の戦争のあり方を踏まえて検討する。紛争に通底するテーマである国際法の位置づけを浅田正彦氏(同志社大学)、エネルギーについては小山堅氏(日本エネルギー経済研究所)、国連の動向は山田哲也氏(南山大学)が執筆。地域情勢は、ウクライナの支援者たる欧州を合六強氏(二松学舎大学)、中東では核開発の展開が注目イランを坂梨祥氏(中東研究センター)、イスラエルの対抗軸と目されるトルコを今井宏平氏(アジア経済研究所)、隠れた主役である中国について山口信治氏(防衛研究所)、印パ対立はパキスタンの視点から栗田真広氏(防衛研究所)が考察する。
FOCUSは「認知戦時代の広報文化外交」に注目する。外務省で広報文化外交戦略課長を務める石井秀明氏が政府の取り組みを整理し、SNSに影響を与えるボットネットについて小林啓倫氏(経営コンサルタント)、コンテンツ産業と外交の関係について中村仁氏(跡見学園女子大学)が論じる。
そのほか、トランプ関税下の東南アジアのサプライチェーンについて木村福成氏(アジア経済研究所長)に鈴木一人氏(地経学研究所長)が聞く連載「地経学ダイアローグ」、タイ・カンボジア紛争を青木まき氏(アジア経済研究所)、地政学的関心強まる北極をめぐる国際政治を駐カナダ大使の山野内勘二氏が読み解く。
【目次】
特別企画◎ウクライナ和平は動き始めるのか
不透明感強めた「トランプ流」 原田憲一(時事通信)
プーチンは成果を「半分」手にした 駒木明義(朝日新聞)
特集◎ユーラシア 連動する3戦争のゆくえ
グローバル・サウスから見た戦争と秩序 川島真(東京大学)
フランス対米「自律」論と欧州 合六強(二松学舎大学)
座談会◇現代戦争のイデオロギーとテクノロジー 伊藤融(防衛大学校)×江﨑智絵(防衛大学校)×湯浅剛(上智大学)
イラン・ガザへの武力行使で揺らぐ「法の支配」 浅田正彦(同志社大学)
イラン革命体制は「12日間戦争」で動揺するか 坂梨祥(日本エネルギー経済研究所)
地域大国トルコと新中東秩序 今井宏平(ジェトロ・アジア経済研究所)
中国が突き進む「智能化ハイブリッド戦争」 山口信治(防衛研究所)
パキスタンから見た印パ「4日間戦争」 栗田真広(中京大学)
地政学に揺れる国際エネルギー情勢 小山堅(日本エネルギー経済研究所)
ドローン兵器が変えた戦争 古谷知之(慶應義塾大学)
国連80年 多国間協力の危機の時代に 山田哲也(南山大学)
トランプ2・0 EUとCPTPP連携の可能性 田村暁彦(経済産業研究所)
FOCUS◎認知戦と広報文化外交
認知戦時代のパブリック・ディプロマシー 石井秀明(外務省)
AIで変わるボットネットとSNS情報工作 小林啓倫(経営コンサルタント)
日本ポップカルチャーと文化外交 中村仁(跡見学園女子大学)
連載・地経学ダイアローグ第2回
東南アジア経済の強靱さとバランス感覚 木村福成(ジェトロ・アジア経済研究所長)×鈴木一人(東京大学)
TREND 2025
タイ・カンボジア国境紛争 その歴史的起源と国内政治の力学 青木(岡部)まき(ジェトロ・アジア経済研究所)
アフリカの変化とTICAD9 阿久津謙太郎(JICA緒方研究所)
地政学的競争強まる北極 山野内勘二(駐カナダ大使)
書評 藤田直央著『極秘文書が明かす戦後日本外交』 評者・若月秀和(北海学園大学)
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- 近代エジプト家族の社会史