内容説明
国/文/学のポリティクス。明治中期、帝国憲法体制の構築をにらんで東京大学文学部に急遽付設された「古典講習科」。古典と国家が手を結ぶ、現在までつづく物語は、ここから始まった!
目次
第1章 国学と国文学―東京大学古典講習科の歴史的性格
第2章 漢学の岐路―古典講習科漢書課の位置
第3章 漢文とアジア―岡本監輔の軌跡と企て
第4章 国民文学史の編纂―芳賀矢一の戦略と実績
第5章 国家の文体―近代訓読体の誕生
第6章 『万葉集』の近代―百三十年の総括と展望
関連資料集
著者等紹介
品田悦一[シナダヨシカズ]
1959年、群馬県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は上代日本文学
齋藤希史[サイトウマレシ]
1963年、千葉県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は中国古典文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
元気!
2
明治の初めに一時的に成立した古典講習科の果たした役割についての論考から始まり、漢文脈論や万葉ポピュリズム論など、共著者の専門が活かされており面白かった。2022/05/21
Ohe Hiroyuki
1
令和の典拠につき、「万葉集は国書である」という表現から、①漢籍は国書ではないのか?そもそも国書とは何か?②万葉集の近代における政治利用について取りまとめた論考集。▼内容は、東京大学に一時期設けられていた古典講習科、我が国の文体の略史、そして万葉集等である。▼近代国家として我が国が立っていくための一つの側面を描写しており、大変に興味深い。▼万葉集は「選ばれた人たちだけが」「付き合うことを許されるということなのだ」と結論を述べているが、これがアカデミズムの一つの側面なのかもしれないと思ったところである。2022/04/11