出版社内容情報
◆「子ども」を捉える質的研究
発達研究においては、ともすれば身近で個別的な子どもと向きあい、その子の理解に役立つ情報を探ることが見失われがちです。本特集では、質的方法の特性を自覚的に利用して、子どもたちの「いま」をとらえ、周囲の人の関わりの理解をめざす論文が4本そろいました。人間観や認識論といった、ものの見方の変革に深く関わる質的研究ならではの力作ばかりです。ほかに一般論文を7本収載。書評特集では「質的心理学研究の足下を見直すため、あらためて古典を読む」と題し、質的研究の理念や息吹を感じさせる古典との対峙を促します。
質的心理学ハンドブック 目次
巻頭言 伊藤哲司 アクションリサーチとしての編集活動
特集:子どもをめぐる質的研究(責任編集委員:斉藤こずゑ・菅野幸恵)
■香川七海
青少年女子によるインターネットを媒介とした他者との〈出会い〉
─「ネットいじめ」言説の興隆期に着目して
■菅野幸恵・米山 晶
子どものとなりで育ちを見守る
─ある保育者の語りから見る自主保育という育ちの場
■三浦麻依子・川島大輔・竹本克己
聾学校乳幼児教育相談における母子コミュニケーション支援に関する一考察
─意味ある他者との関わりを足場として
■岸野麻衣
小学校における「問題」とされがちな子どもの学習を支える授業の構造
─協同での学習過程における認知的道具の使用をめぐる事例分析
一般論文
■村田観弥
関係に着目した「発達障害」概念の様相
■坂井志織
慢性硬膜下血腫“疾患前”の患者経験
─生活に馴染んでいく“症状”
■広津侑実子・能智正博
ろう者と聴者の出会いの場におけるコミュニケーションの方法
─手話を用いたインタビューの会話分析から
■沼田あや子
発達障害児の母親の語りのなかに見る家族をつなぐ実践
─「葛藤の物語」から「しなやかな実践の物語」へ
■向 晃佑
複線径路・等至性モデル(TEM)による送球イップス経験者の心理プロセスの検討
■野口聡一・丸山 慎・湯淺麻紀子・岩本圭介
「宇宙にいた私」との対話
─宇宙空間での “つぶやき” に私の変化を見る
■一柳智紀
ワークシートの配布方法の相違が小グループでの問題解決過程に及ぼす影響
BOOK REVIEW
■《書評特集》質的心理学研究の足下を見直すため,あらためて古典を読む
特集にあたって(森 直久)
ピアジェ『子どもにおける知能の誕生』を再読する
─いかなる「個別」の現象も「普遍」の一つの現れである(評:浜田寿美男)
世界の境界・裂け目から構想する方法論
『暴走族のエスノグラフィー』と『大衆演劇への旅』の方法論的読解(評:天田城介)
科学としての質的研究の立脚点は二つ(評:葛西俊治)
共同的な実践としての「アイヒマン実験」(評:矢守克也)
「なんとくだらないことだろう!」
─L. S. ヴィゴツキー「心理学の危機の歴史的意味」再読(評:高木光太郎)
編集委員会からのお知らせ
『質的心理学研究』規約
投稿に際してのチェックリスト
『質的心理学研究』特集と投稿のお知らせ
英文目次
『質的心理学研究』バックナンバー
表紙デザイン 臼井新太郎
目次
特集 子どもをめぐる質的研究(青少年女子によるインターネットを媒介とした他者との“出会い”―「ネットいじめ」言説の興隆期に着目して;子どものとなりで育ちを見守る―ある保育者の語りから見る自主保育という育ちの場;聾学校乳幼児教育相談における母子コミュニケーション支援に関する一考察―意味ある他者との関わりを足場として;小学校における「問題」とされがちな子どもの学習を支える授業の構造―協同での学習過程における認知的道具の使用をめぐる事例分析)
一般論文(関係に着目した「発達障害」概念の様相;慢性硬膜下血腫“疾患前”の患者経験―生活に馴染んでいく“症状”;ろう者と聴者の出会いの場におけるコミュニケーションの方法―手話を用いたインタビューの会話分析から;発達障害児の母親の語りのなかに見る家族をつなぐ実践―「葛藤の物語」から「しなやかな実践の物語」へ;複線経路・等至性モデル(TEM)による送球イップス経験者の心理プロセスの検討
「宇宙にいた私」との対話―宇宙空間での“つぶやき”に私の変化を見る
ワークシートの配布方法の相違が小グループでの問題解決過程に及ぼす影響)
BOOK REVIEW(書評特集 質的心理学研究の足下を見直すため、あらためて古典を読む 特集にあたって)