内容説明
二葉亭四迷の“終り”、夏目漱石の“終り”、探偵小説の“終り”、一人称小説の“終り”…。さまざまな“終り”をめぐる欲望を、テクストのおかれた場所で問う、スリリングな論考。
目次
第1部 主題としての“終り”(消し去られた“終り”―二葉亭四迷『浮雲』(1)
“未完”の成立―二葉亭四迷『浮雲』(2)
“終り”をめぐる政治学―二葉亭四迷『浮雲』(3)
探偵小説の“終り”―森田思軒訳『探偵ユーベル』
同時代的な想像力と“終り”―徳冨蘆花『不如帰』
オープンエンドという〈終り〉―夏目漱石『明暗』)
第2部 “終り”をめぐる断章(三人称的な“終り”の模索―坪内逍遙訳『贋貨つかひ』;韜晦する“終り”―二葉亭四迷『平凡』;勧善懲悪小説的な“終り”―夏目漱石『虞美人草』;“暴力”小説の結末―芥川龍之介『薮の中』;“痕跡”としての「楢山節」―深沢七郎『楢山節考』;1人称小説の〈終わり〉―村上春樹『ノルウェイの森』)
著者等紹介
高橋修[タカハシオサム]
1954年宮城県生まれ。上智大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、共立女子短期大学文科教授。専門は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きつね
2
著者二十年間の思考の集積たる本書は、近代文学研究における〈終り〉をめぐる解釈のプライオリティ闘争を俯瞰し、そこに潜むイデオロギーを暴こうとするものだ。とくに『浮雲』『藪の中』をめぐる二分法的論争から、隠された前提を暴き出す手付きは見事というほかない。それに対して、「ではあなたはどのような解釈を持つのか!」と詰め寄ることは、既に〈終り〉への欲望に魅せられた者のーー文学の解釈に我こそがとどめの一撃を下したい、息の根を止めたいというーー善がり声にも似た悲鳴と区別が付かないのかもしれない。(以下コメントに続く)2012/06/16
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