出版社内容情報
◆科学的に考えることの楽しみを知る◆
ある人のどんな性格について私たちが判断する際、日本において一般に広く受 け入れられている判断基準のひとつに、ABO式による「血液型性格判断」が あります。しかし血液型性格判断は、心理学においては、実はおよそ百年前に 「終わっている」学説です。本書は血液型性格判断が非科学的であることの確 たる理由について、心理学が学問として具える科学的な視点から知ることが、 通底するテーマです。ほか「心理ゲームは深層心理を当てるのか」「『三つ子 の魂百まで』はほんとうか」「子どもの性格は親に似るのか」などといった身 近な疑問やエピソードを題材に、性格という「目に見えないもの」について、 これまで心理学がどのように探求してきたのかを一般読者向けにわかりやすく 紹介しています。
【目 次】
まえがき
序 章 なぜ血液型と性格の関連を信じることに反対なのか
血液型性格判断と占いとのちがいは/遺伝とイメージとの結びつき/B型の悪いイメージ/ブラッドタイプ・ハラスメント/暗黙の知能観/血液型による相性判断は固定的知能観/血液型と性格に関連はあるのか
第一章 性格はどこにあるのか パーソナリティ心理学とは
特殊な能力/面接試験にて/「性格の明るさ」ってなに?/性格をみることと行動をみること/性格を言い表すさまざまな英単語/翻訳の難しさ/言い回しの問題?/性格はどこに/パーソナリティ心理学とは
第二章 心理ゲームは深層心理を当てるのか 信頼性と妥当性
測定するということ /運動能力を考える /目に見えないものを測定するには /内容に注目 /関連に注目 /概念に注目 /テストの目的も重要 /妥当性に注目すると…… /測定に不可欠なもうひとつの視点 /誤差を分ける /信頼できる体重計・信頼できない体重計 /信頼性と妥当性の関係 /ある心理ゲームを例に /信頼性を検討する /妥当性を検討する /「深層心理」の妥当性とは /心理ゲームの妥当性は検証されているのか /完全に当てるゲームは危険?
第三章 人間はいくつの種類に分けられるのか 性格の類型論
類型論と特性論 /四体液説・四気質説 /現代につながる四気質説 /クレッチマーの体格-気質関連説 /人々のイメージに残るクレッチマー説 /類型論の問題点 /長い歴史の中で /類型モデルから次元モデルへ /コンピュータの発展とともに
第四章 人間にはいくつの性格があるのか 性格の特性論
ゲームの登場キャラクターの表現方法 /人間の性格を特性として理解する /語彙研究 /因子分析を使って性格次元を探す /ビッグファイブ /五因子理論 /性格を五次元で記述するということ /ビッグファイブの下位特性 /ビッグファイブから就活をみると /五つでは足りないか /五つでは多すぎる? /現代の心理学では
第五章 「三つ子の魂百まで」はほんとうか 横断的研究と縦断的研究
性格は変化しないという説 /赤ちゃんの気質にみられる三つのタイプ /横断的研究と縦断的研究/コーホート研究 /「三つ子の魂百まで」ってほんとう? /メタ分析から /研究からわかること /大人になっても性格は変化しつづけるのか /世代別・性別に性格を比べたアメリカとカナダの研究 /イギリス人とドイツ人の性格を世代別に比べた研究 /日本では
第六章 子どもの性格は親に似るのか 遺伝子の確率的な影響
似ているか、似ていないかという問題 /相関係数に注目 /親子の相関係数は /性格以外では /遺伝の影響を調べるには /多因子形質 /遺伝子が性格に及ぼす影響力とは /遺伝子の確率的な影響は
第七章 性格は遺伝と環境どちらで決まるのか ゲノムワイド関連解析と双生児研究
遺伝優勢か環境優勢か 126/こう思っていませんか /連続的な個人差として /遺伝と環境の影響力をイメージすると /影響力の切り分け /原因の追究は簡単ではない /ゲノムワイド関連解析 /職業経験も影響を及ぼす /双生児研究 /知能指数の双子間相関からわかること /ビッグファイブでは /環境を分解する /影響力の推定値は /家庭環境は性格の形成に不要なのか /不可欠な視点
終 章 血液型から性格を判断できないのはなぜか
「ないこと」は証明できない /性格のある場所 /血液型性格判断という類型論 /血液型と性格の遺伝 /因果関係の連鎖は正しいのか /それでもなお反論したくなる /統計と体験のちがい /どちらかの視点をとる /コミュニケーションの不成立 /どうすればよいのか /良し悪しの判断とは /まじめな性格の良し悪し /ナルシストの良し悪し /良し悪しは変わるもの
あとがき
文 献
事項索引
人名索引
装幀 銀山宏子
内容説明
血液型から性格を判断することはできない―それはなぜ?人の性格に関する身近な問いを探求しながら、心理学の科学的な考え方が身につく本。
目次
序章 なぜ血液型と性格の関連を信じることに反対なのか
第1章 性格はどこにあるのか―パーソナリティ心理学とは
第2章 心理ゲームは深層心理を当てるのか―信頼性と妥当性
第3章 人間はいくつの種類に分けられるのか―性格の類型論
第4章 人間にはいくつの性格があるのか―性格の特性論
第5章 「三つ子の魂百まで」はほんとうか―横断的研究と縦断的研究
第6章 子どもの性格は親に似るのか―遺伝子の確率的な影響
第7章 性格は遺伝と環境どちらで決まるのか―ゲノムワイド関連解析と双生児研究
終章 血液型から性格を判断できないのはなぜか
著者等紹介
小塩真司[オシオアツシ]
中部大学人文学部心理学科准教授。博士(教育心理学)。1972年、愛知県一宮市に生まれる。1995年、名古屋大学教育学部教育心理学科卒業。2000年、名古屋大学教育学研究科博士後期課程修了。専門はパーソナリティ心理学・発達心理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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