内容説明
日本と酷似した経済、社会の問題をかかえながら、先進国中もっとも自殺の少ない国、イタリア―北欧型福祉社会が目指すべき姿なのか?セーフティネットとしての、家族・地域。コミュニティのホットなつながりの可能性。
目次
第1章 非人間化時代の家族と心のセーフティネット
第2章 社会のタイプとセーフティネット―目指すべきモデルではなくなった北欧型社会福祉
第3章 地域コミュニティとアイデンティティ形成
第4章 「あの世」イメージとコミュニティ感覚―日本人には分かりにくいカトリック教
インタビュー イタリア人にとって信仰とは
第5章 茶の間の共産党と元祖社会主義者キリスト
第6章 地域リーダーのモラル学校
第7章 モラルとリーダーシップ―現代版ユートピア“協同組合”
著者等紹介
八木宏美[ヤギヒロミ]
1975年上野学園大学音楽学部卒業。1979年ロータリー財団奨学生として渡伊。ベルディ音楽院、ミラノ大学人文学部に学ぶ。1989年(有)インプット・イタリア・ジャパン社設立。翻訳や日本の官公庁・シンクタンク委託調査などの仕事をする傍ら、ボッコーニ大学経済学部講師を経て、1999年より2010年までトリノ大学外国語学部オリエント学科および大学院日本部門契約教授。2004年より日本でも日伊協会文化セミナー講師等を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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chi0926
2
BSのTV番組「小さな村の物語イタリア」を見るたびに、イタリア人の家族や地元とのつながりの強さに関心していたのと同時に、なぜ若者は都会を目指さないのか?家族経営ばかりなのか?なぜ未だに年配世代は若い世代に土着を期待するのか?と不思議に思っていた。本著を読んだらその理由の一端がわかった。歴史的、宗教的、政治的背景をもとに、イタリア社会のコアの部分を知ることが出来、役立った。文化論の入口として大変読みやすく、これ1冊読むだけで、イタリア映画やTVを見る視点が深くなりそう。2012/03/25
unpyou
1
イタリアは社会福祉についての国の政策は非常に立ち遅れているのに、自殺者がほとんどないのはなぜ?といった問いからはじまり、イタリアの家族コミュニティの力を北欧の社会福祉モデルとの比較で解き明かす冒頭を受けて、カソリックの地域コミュニティ、ソ連中共とは異なる根付き方をした西側諸国最大のイタリア共産党の素顔などが論じられる。イタリア社会を知るのみならず、日本における地域社会、コミュニティ力の行方を考える上で極めて興味深い書。新書化などして多くの人に読んでもらいたい一冊。2012/06/25
denken
1
イタリア共産党について気楽に読める。2012/04/04
榎本洋輔
1
約一年の間、絆をテーマにすることが多いので読んでみた。以下、簡単なまとめ。 イタリア人は、家族が最も重要。だから問題が起きると対応の遅い国よりも、教会・神父を中心とした地域でうまく解決しようとする。 なぜ地域で問題を解決しようとするのかというと、第一に地域には信頼できる神父がいるから、宗教観に反する解決策はとられない。第二に教会が中心となった地域の人間関係が構築されているから、信頼できる上に連携がとりやすい。2012/01/17
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