出版社内容情報
どんな市場にも伸びる会社、衰退する会社があり、どんな会社にも出世する人、しない人がいます。何が違う? これまでは、資本力、製品力、知性、魅力、力など、組織や人に属する要因が注目されてきました。しかしどんな大会社でも、資質に恵まれた有能な人でも、ときに一敗地にまみれるのが社会というものです。では真の勝利の要因とは何でしょうか。それは、組織・人のもつネットーワークと、その中での位置なのです。「構造的空隙(=ネットワーク関係における穴)」という概念を提出してそのことを立証し、社会的競合の解明に大きな役割を果たした原著待望の邦訳です。
本書では市場や組織における「構造的空隙」に集約された価値について述べる。議論の骨子は、信念や実践される行為は同一集団の内部では異なる集団間におけるよりも似通っている傾向があり、集団内の暗黙の知識に流されれば集団間の知識の移動が妨げられる。それゆえ、異なる複数の集団と繋がりを持つ人々は、仕事上の有利な機会をとらえ、それを発展させるのに、社会資本において優位性をもつ、ということである。本書では集団間の境界を、社会構造における隙間、すなわち「構造的空隙」という見地から、競争的優位を論じていく。一連の研究と証拠を示して、構造的空隙を橋渡しするネットワークがより優れた発想、より高い評価、魅力的な報酬、早期の昇進、効率的なチームワーク、企業の高い収益と関連することを示そう。(「日本語版への序文」より)
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【関連書籍】
『 資本主義黒書 』 R・クルツ著 (上巻6930円 下巻4620円 2007.5-7月)
『 社会科学の理念 』 P・ウィンチ著 (定価2100円 初版1977を復刊)
『 現実の社会的構成 』 バーガー、ルックマン著 (定価3045円 2003)
内容説明
市場における優劣、昇進…勝者と敗者を分ける、関係の不在=構造的空隙とは何か。ネットワーク分析の至宝ロナルド・バート初の邦訳。
目次
第1章 競争の社会的構造
第2章 議論を定式化する
第3章 利益への転換
第4章 昇進
第5章 プレイヤーと構造の二面性
第6章 関与と生存
第7章 戦略的埋込みと制度的残基
著者等紹介
バート,ロナルド・S.[バート,ロナルドS.][Burt,Ronald S]
1971年ジョンズ・ホプキンス大学で社会科学と行動科学のBAを取得、1973年にカリフォルニア大学バークレー校でMA(社会学)、1977年にはPh.D.(社会学)の学位を得た。その後、ニューヨーク州立大学、コロンビア大学、INSEADなどで教鞭をとり、1996年からはシカゴ大学ビジネススクールにて、社会学と戦略論の教授として活躍している。2001年から2003年には、産業用エレクトロニクス、あるいはパトリオットミサイルで有名な米国レイセオン社のバイスプレジデントにも就任し、レイセオン・リーダーシップ研究所で戦略的学習の研修を行っている。専門はネットワーク分析であるが、研究は社会学理論の構築や、ネットワークの構造特性を記述するモデル構築にとどまらない。ネットワーク分析を応用した研究により、社会学、戦略論、組織論、産業組織論など、多様な分野に豊かな示唆をもたらしている
安田雪[ヤスダユキ]
1986年に国際基督教大学教養学部卒業後、コロンビア大学大学院(社会学専攻)に留学、ロナルド・バート教授に師事。1993年に同博士課程修了(Ph.D.)。2000年からネットワーク分析の指導・コンサルティングを行う有限会社社会ネットワーク研究所取締役社長、2004年から東京大学大学院経済学研究科・ものづくり経営研究センター特任助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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