システム現象学―オートポイエーシスの第四領域

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  • サイズ B6判/ページ数 468p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788510036
  • NDC分類 461
  • Cコード C1010

出版社内容情報

 本書で著者は、さらに新しい次元に飛び出そうとしています。「オートポイエーシスの第四領域」では、その脱出を、体験的レベルの事象を扱うのに適したシステム論と現象学を援用して行なおうというのです。身体療法、認知運動療法などに携わることで得られた新しい思考を、それにふさわしいみずみずしい文体で展開します。リハビリやスポーツのトレーニングの実例も豊富で説得的です。

 最先端のシステムの機構を解明しようとするオートポイエーシスは、当初より現象学に近いところにいた。それはこのシステムの機構が、知ではなく行為というレベルで設定されているからである。ヴァレラもルーマンも、異なった仕方で現象学と内的な関連を図ろうとしている。本書でも、システムと現象学の内的で有効な回路を探り当てようとしている。そして数々の問題を扱うことになった。……本書全体で狙っているのは、どのようにして体験レベルの経験を形成するかであり、それにかかわる基本的な働きを「注意(アテンション))」と「気づき(アウェアネス)」に限定していることである。注意は、現実がそれとして成立する働きであり、気づきは、知るということ以上に行為の調整を担っている。いつものように哲学としても、経験科学としても、そして制作としても、果敢に踏み出していきたいと思う。(「はじめに」より)

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 【関連書籍】
 『 自閉症 』 藤居学著 (定価1890円 2007)
 『 私の身体は頭がいい 』 内田樹著 (定価1890円 2003)
 『 アフォーダンスの心理学 』 E・S・リード著 (定価5040円 2000)

 【新 刊】
 『 人間改造論 』 町田宗鳳・島薗進編 (定価1890円 2007.9月)

内容説明

行為の継続を通して自己を形成してゆくオートポイエーシスの思想。眼で見て頭で考える西欧の知の行きづまりを、身体知と行為知にもとづくこの斬新な思想とシステム現象学によって乗り越え、セラピー、リハビリ、トレーニングなどの実践の現場にまで新境域を拓く。

目次

1 システム現象学とは何か
2 認知行為システム
3 身体システム
4 人間再生プログラム
5 情動・感情のシステム
6 オートポイエーシスの第四領域
終章 ミケランジェロの決断

著者等紹介

河本英夫[カワモトヒデオ]
1953年、鳥取県生まれ。1982年、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。1996年、東洋大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

3
神経システムから発したオートポイエーシスは記述可能な場面を理論化する社会学領域と、記述不能な場面を実践的に追及する臨床領域に分岐する。本書では、方法を定義する局面から記述化へ、さらに行為存在論へ向かう中で後者にシフトする著者が、身体の内感、情動・感情のような記述困難な複合連動系(第四領域)を理論的課題とし、認知運動療法の実践に連携するためのカテゴリー整備を行った。このため、従来体験を内的に扱う現象学が要請され、経験を創発(メタモルフォーゼ)するシステムの条件とその現象説明の両者を担うシステム現象学となる。2017/09/26

engawa

1
「創発」を軸に、人間を捉え直そうとする本。赤ん坊が歩けるようになることも、言葉を話せるようになることも、新たな自己(システム)の創発であり、それは自己の作り替えでもあるため、その行為には認識は届かない。仏教修行で、悟りと言われる境地に至ることも、新たな自己の創発なのだろうか。頭で考え行き詰まるよりも、実践に繋がる知を目指すことがこの本の主張なのだが。何はともあれ、この人の本を続けて読んでいると、少しだけ世界が違って見える。2011/02/25

T2C_

0
我々人間の複雑な動作を記述する為に必要となるであろう知識が精神の形成可能性の成立を軸に大量の根拠と共に列挙されており驚愕を禁じ得なかった。こういった証明の難しい事を記述した本は往々にして結論導出時に有耶無耶になり退屈させられがちだが、こちらは全くそんな事は無く時間は掛かったが読み進める度新たな道が開いた印象を受けた。内観・外観、クオリアの課題、気づき・現れ、身体運動感・非現象世界(感情等)が思考に及ぼす影響、等々。読後、運動の客観視が可能となり万象の多視点解釈も可能となった。岐路を左右し得る本であった。2013/06/08

iwri

0
オートポイエーシスや内部観測は、ともすれば記述理論になってしまいがちである。それは端的に、外部/内部という視点の変換関係として捉えられてしまう。本書は、そのような変換関係が無効化されるような、気づき/内感/感情のような領域を探究し、その方法論を現象学とシステム論の双方から定式化しようと試みる。著者が、第4領域と規定しているように、それは既にマトゥラーナやルーマンの定式化したオートポイエーシスや内部観測の射程を超えた、新しい知と行為の理論であると感じる。2011/04/02

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