出版社内容情報
ニーチェの継承者としてのウェーバーとフーコー。近代思想・哲学界の三巨星が「成熟」をめぐる理論化の伝統のなかに新たな相貌を現す。ヘーゲル、マルクス、ハーバーマスの「正統的」批判しそうに対峙する<批判としての系譜学>を打ち立てる大胆な試み。
内容説明
19世紀末~20世紀思想界の巨星ニーチェ、ウェーバー、フーコー。本書はその方法論、近代認識、政治と倫理の構造的連関を正面から追究する。近代における「成熟」はカントの啓蒙に始まるが、ニーチェはこれを「道徳的自律」にすぎないと批判し、超越的権威=神を喪った時代における「道徳外的自律」の可能性を力説した。ニーチェの「成熟した個人」は価値目標としてウェーバー、フーコーへ継承された。ヘーゲル、マルクス、ハーバーマスの正統的批判思想に対峙する「批判としての系譜学」の挑戦。
目次
第1章 カントと成熟の問題
第2章 批判の変容―ニーチェと系譜学
第3章 近代性の系譜学―ニーチェ・禁欲主義・ニヒリズム
第4章 「超人」の政治―ニーチェ・成熟・近代
第5章 文化科学としての系譜学―ウェーバー・方法論・批判
第6章 近代性の系譜学・ウェーバー・禁欲主義・脱呪術化
第7章 「人格」の政治―ウェーバー・成熟・近代
第8章 歴史的存在論としての系譜学―フーコー・方法論・批判
第9章 近代性の系譜学―フーコー・人間主義・生‐政治
第10章 批判の政治―フーコー・成熟・近代