出版社内容情報
かつてある国でことばの起源の研究が禁止されました。あまりに荒唐無稽の仮説や思いつきが氾濫したからです。この事実は、ことばの起源問題が人々の知的好奇心にとっていかに魅力的かを示しています。さて、今では脳研究や人類学、動物との比較研究や進化学、ピジン、クレオールなどの研究が大きく進展して、ことばの起源と進化のプロセスはしだいに明瞭になってきました。本書は、その波乱に満ちた過程をヴィヴィッドに描き出し、説得力に富んだ見方を提出しています。
言語の起源に関しては、急激な発達(手品のウサギ)説の支持者も、長期(カタツムリの塀登り)説の提唱者も、完全に正しいとは言えない。言語の出現はたき火のようなものだったと考えられる。初め(二五万年ほど前)はゆっくりと、次いで急速な発展(一〇万年ほど前)に移り、そしてしだいに落ち着いて長期にわたる安定的な輝きを得るに至ったのである。
言語の胚子をもったグループは複数存在したものと思われる。だが本格的な言語は、他のグループより進化した言語を獲得した一つの小さな集団の中で発達したのであろう。このことがこの小集団の知恵を他のグループのそれより進んだものとし、他のグループはこの小集団からその言語を学んだものと考えられる。(「第5章 要約」より)
・北海道新聞 99.9.12 紹介
・朝日新聞 99.9.19 西垣 通氏 気になる本
・「英語教育」 99.11 若林茂則氏評
・「言語」 99.11月号 有馬道子氏評
・「サイアス」 99.11 紹介
----------------------------------------------------------
【関連書籍】
『 二歳半という年齢 』 久保田正人著 (定価2310円 初版1993を復刊)
『 心の発生と進化 』 プレマック著 (定価4410円 2005)
『 人間はどこまでチンパンジーか 』 ダイアモンド著 (定価5040円 1993)
内容説明
ことばはいつ、どうして発生したのか?なぜ人間だけがことばをもつのか?脳が先か、ことばが先か?品詞や文法はどのようにしてできたのか?どうして多くの言語に分かれたのか?すべての言語に共通する特性は何か?ピジンとクレオールから何がわかるか?イギリス有数の言語学者がことばの謎ときに招待する。
目次
第1部 謎(生まれつきの好奇心―言語はどのようにして生まれたか?;奇妙な習性―言語は何のためにあるか? ほか)
第2部 起源(家系図―進化論的背景;放浪する心―基礎的要件 ほか)
第3部 進化(第二のことば―規則の出現;ことばの塔―拡大 ほか)
第4部 拡散(拡がる環―外への動き;隠れた中核―普遍性の探究 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こたろう
thuzsta