内容説明
三汀の薫化を受けた大人(井上緑水)の句にもまた、小説味を帯びた俳句がすこぶる多い。“やはらかく抱きし夢や柏餅”“氷柱より冷き指を弄ぶ”これらの句を含め、そのほか、“少年のつるりんとむく衣被”“白桃を啜るやあらぬこと思ひ”など、きわどくも上品な艶笑性は、…現代俳句につややかな俳諧性を取り戻すとともに、十七音の短詩形が用いようによっていかに豊かな連想を喚起し得るものであるかを、改めて想起させるものでもある。諸賢自身のそれぞれに優れた味覚を駆使して、本句集にふんだんに盛られた美酒美肴の醍醐味を満喫せられんことを。
目次
グルメ天国(141句)
人と花(109句)
虫・鳥・獣(50句)