目次
第1部 最近接発達の領域(発達の最近接領域)の概念をめぐって(問題の設定;教授と最近接発達の領域と科学的概念の発達;科学的概念の発達とは何が発達することなのか;結論)
第2部 内言の概念をめぐって(問題の設定;内言の「意味」の分析;なぜ「意味」の作用が可能なのか―「意味」の存在形態の解明;まとめにかえて)
著者等紹介
中村和夫[ナカムラカズオ]
1948(昭和23)年、東京に生まれる。1971年、東京大学教育学部卒業、1976年、同大学院教育学研究科博士課程中退。愛媛大学、東京水産大学での勤務を経て、現在は東京海洋大学教授。専門は教育心理学、発達心理学。博士(教育学)
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感想・レビュー
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ゆう。
18
ヴィゴツキーの「最近接発達の領域(発達の最近接領域)」と「内言」の概念について研究し解説した本です。最近接発達の領域については有名な概念であり、子どもがある課題を独力で解決できる知能の発達水準と大人の指導下や自分より能力のある仲間との共同であら解決できる能力の発達水準のへだたりのことを言います。この概念が生活上の自然に行われるものではなく、学校教育などの目的意識的に行われるところに重要性があるのだと学べました。また、内言については人格論であることが重要だとも学べました。2015/05/14
hutosi
5
語の「意味」には2つの意味がある。一つは辞書に載っているような万人に伝わる様な『意味(意義)』と、もう一つはその人本人にしかもたらさない【意味(合い)】。内言はどちらの「意味」も内包しながらイメージに繋がっていく。この本では『意味(意義)』を概念的思考に、【意味(合い)】は生活的思考に関連付けさせながら、もう半歩前の発達段階から内言の重要性について文字通り読み解こうとする。著者は内言論は人格論だ。と仰っておられるので人格心理学を齧る人も読んで損はないかと。ページ数的には90p前後でパッと読めます。2013/09/30
plum
4
社会的平面→(次に続く発達の領域)心理的平面へと文化的発達はなされる。課題を大人の指導下で解決→子ども独力で解決へ。科学的概念は生活概念と異なり,学校教育という体系で習得される,意識的な自覚性と随意性の心的過程である。両概念は言語的思考をまって相互浸透する。思春期には,自覚的で反省的な内面の成立と深化を得る。さらに内言(相互合同や相互結合)によってイメージ(想像)は意味づけられる。2017/05/09
もこ
2
教科書。ヴィゴーツキーの理論がまさしく言語を媒介に書かれた概念的思考なもので、理解するのにとても頭を使う。文章は平易で例え話も多いもので、初学者にも独学者にもわかりやすい一冊だろう。とはいえ私としては、これを教科書にした講義で説明されてちょうどいいぐらいだったけど。
松村 英治
2
がっかりしたことに、内容のほとんどが理解できなかった…内言の「意味」を問うている理由さえも分からなかった。いい加減、ヴィゴツキーの日本語原著を読めということですね。(活動理論や状況論も、時間をかけてちゃんと勉強したい。)2015/09/22