内容説明
源平合戦の英雄でありながら悲劇的最期を遂げた源義経。後世、判官贔屓という日本人固有の心情を生み、様々な伝説が生み出された。義経は奥州衣川高館では死なず蝦夷に渡ったとする蝦夷渡り伝説、義経ジンギスカン伝説などである。しかし、湘南の地には、それらとは異なる義経伝説が存在する。『義経記』、御伽草子、道中記を読み解き、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎に残る義経関連の寺社・史蹟を廻り、湘南の地に伝わる義経の伝説と信仰を明らかにする。
目次
第1章 腰越状と源義経
第2章 源義経の首
第3章 義経の怨霊鎮撫と頼朝の最期
第4章 義経の怨霊
第5章 義経蝦夷渡り伝説
第6章 湘南の義経伝説
第7章 梶原施餓鬼と建長寺
終章 悲劇の英雄から怨霊そして御霊へ
著者等紹介
田中徳定[タナカノリサダ]
1957年生まれ。1982年3月駒澤大学大学院修士課程修了。専攻/学位、説話文学・仏教文学/博士(国文学)。現職、駒澤大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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駒場
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「腰越状」は偽書なのかというところから始まって、その後の義経の首実検、怨霊化した義経の伝説、蝦夷へ逃れたという伝説、現在も湘南地域で行われる義経の鎮魂、というようなことを歴史書や文学、民間伝承を元に説明している。巷間で徐々に変容していく義経像、という視点の他に、当時の政治的な要請からその変容の方向性が決められていったという話は義経以外にも言えることだが、全国各地に伝説が散見される義経を追うことでそれがよく分かる。日本史上に英雄は数多いるけど、義経のように語り継がれた英雄は他にはいないものなあ2016/04/17