内容説明
鎌倉初期に成立した説話文学『宇治拾遺物語』には、近代まで語りつがれた「昔話」とよく似た話がある。口承の昔話と説話文学を重ねて、浮かび上がってくる違い、つまりそれぞれの特質とは?共通する「話型」を軸に東アジアやヨーロッパにまで視界を広げ、『宇治拾遺物語』の読みが時空をまたぐ。
目次
1 昔話と『宇治拾遺物語』
2 瘤取爺
3 腰折雀
4 博徒婿入
5 藁しべ長者
6 猿神退治
7 『宇治拾遺物語』の説話と出典
まとめに
著者等紹介
廣田收[ヒロタオサム]
1949年大阪府豊中市生まれ。1973年3月同志社大学文学部国文学専攻卒業。1976年3月同志社大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了。専攻、古代・中世の物語・説話の研究。学位、博士(国文学)。現職、同志社大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どこかの国語教師
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大学・大学院時代に、著者の講義を聴いた。『宇治拾遺物語』について熱く語る講義に、身を乗り出して聴いていた。そのときの内容と重なる。『宇治拾遺物語』は意外と研究が進んでいない。民間に広まる昔話との比較。2013/08/16
しろくま
0
テクストを構造においてとらえること。レヴィストロースの考えを日本の古典に援用するという試みなのでしょうか。2013/05/06
sfこと古谷俊一
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話形が同じでも表現の違いは時代や著述形式を反映する。採録された説話、他の国の説話や昔話、聞き取り収集されてきた昔話、について比較してテクストの表現上の違いから、色々見えてくるのですな。2009/10/18