内容説明
人気のゲームとして、大衆に広く親しまれている百人一首かるたの文化的変遷とは。江戸期に華やかさを競ったかるたから、雑誌付録のかるた、大戦中ならではのかるたまで。百人一首グッズコレクターでもある著者所蔵のかるたが舞う。見たことのない多種多様なかるたの図版が満載。
目次
1 歌かるた成立の謎
2 貝覆い起源説への疑問
3 歌かるた起源説への疑問
4 肉筆かるたの図像学
5 歌仙絵の特徴
6 元禄期の大ブレイク
7 読み手の登場
8 明治期の変体仮名かるた
9 競技用かるたの誕生と変遷
10 第二次世界大戦後の歩み
11 近代におけるバリエーション
著者等紹介
吉海直人[ヨシカイナオト]
1953年長崎県生まれ。國學院大學大学院修了。博士(文学)。現在、同志社女子大学学芸学部教授。百人一首の悉皆研究をめざし、和歌文学としてのみならず、広く享受史全般の書誌的研究も行っている。かるたを含めた百人一首グッズコレクター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amabiko
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百人一首の成立は鎌倉時代の前半。百人一首かるたに至っては江戸時代前半になってからのこと。ただし、どちらもその成立事情は明白とは言い難い。歌かるたの成立が、ポルトガル伝来のカルタ、貝覆い・歌貝・貝歌(ややこしい!)の影響を受けたとする通説に疑問点が多く、わかったようでわからない。時代によって、かるたの歌仙絵の変遷が見られることは興味深い(十二単の持統天皇が、時代考証を経て宝冠・黄櫨染御袍に推移した等)。美術的価値の低い庶民のかるたも、数多く収集し、比較検討することでいろんなことが見えてくる。2012/12/24